アマチュア無線の実運用を再開することになった最大の目的は、以前にも 他の記事で書いたがデジタル通信(FT8、JT65、他)。
このデジタル通信ではアプリを運用するPCの時刻精度が重要になる。
自宅内などインターネットに接続できる環境であればNTPを使って同期 することで必要な精度を保つことが出来るが(1) 、インターネット接続が 出来ない場所や環境、また常時ネット接続するのが難しい場合もある。
このような場合はGPSを利用した時刻合わせという手段があり、調べてみると
市販のGPSレシーバーをPCへ(USB)接続して、GPSに対応した時刻合わせ
アプリを使うことで簡単に実現出来ることが判った。
そのGPSレシーバーもAmazonで調べてみると大変安価(数千円程度… 中には千円台も)で売られている。
その格安レシーバーを買っても良かったのだが、ふと見かけたGPSモジュール
を使って作ってみるのも面白そうだな、どうせならBluetoothで接続したいな…と自作することにした。
Bluetooth接続のGPSレシーバーは市販品が少なく、有っても結構 高価なため、自分で作ることの大きな意義が有る。
また、今後USB接続にも対応出来れば、内蔵電池(乾電池)とUSB給電の2電源に対応も可能になり、使用環境の 幅が広がりそうだ。
構成図
先ずはGPSモジュールからの信号をBluetoothへ変換してPCと接続し、今後の拡張としてジャンパーケーブルを繋ぎ換えることでUSB接続にも対応する。
電源は電池昇圧モジュールで生成した5Vの他に、USB接続の場合はUSB変換モジュールからの+5V出力への切り替えも可能。
また、GPSモジュールやBluetooth変換モジュールの設定を変更する場合、それぞれをUSB変換モジュールに接続することでUSB経由での操作に対応。
今回は動作確認版のため、USB変換モジュールと電源ONインジケーター(青色LED、抵抗)は実装しない。
入手したパーツ(小物類は除く)
①GPSレシーバーモジュール(アンテナモジュール付属) NEO6M-ANT-4P
安価・高感度・高精度・使いやすい、と自作派に評判のモジュール。
電源:3V〜5V、I/F:UART(3.3V)
サイズ:31×23×4mm(レシーバー)、26×26×9mm(アンテナ)
②UART-Bluetooth変換モジュール HC-06-4P
UARTをBluetooth(V2.1+EDR/Class2)に変換するモジュール。
PC側ではペアリング後に仮想COMポートとして認識される。
電源:3.6V〜6V I/F:UART(3.3V)
サイズ:43×16×7mm
③UART-USB変換モジュール U2T2102MCU6P
UARTをUSB(microUSBポート)に変換するモジュール。
PC側では仮想COMポートとして認識される。
電源:USB給電(+5V出力有り) I/F:UART(3.3V)
サイズ:21×16×4mm
④昇圧DC-DCコンバータ MHT77X-5V-KIT
1.5Vから5Vを生成出力するDC/DC。
入力電圧:0.7V〜6V 出力電圧:5V 出力電流:200mA(最大300mA)
サイズ:40×15×15mm
⑤LC型ハンドタイププラスチックケース(ダークグレー) LC135H-M2-D
単三乾電池×2本を実装できる電池ボックスが付いた樹脂製ケース。
サイズ:76×135×35mm(外寸) 58×117×28mm(内寸)
三種のモジュール(①〜③)はaitendo、昇圧DC-DCコンバータ(④)とケース(⑤)はマルツのオンラインショップでそれぞれ購入した。
組み立て
昇圧DC-DCコンバータのみキットのため、各部品の実装(ハンダ付け)が必要。
早速、昨日手入れをした工具を使ったが、なかなか良い感じで使い易かった。
また、DC-DCコンバータの出力端子にはピンヘッダを実装し、ジャンパーケーブルで接続できるようにしている。
その他の各モジュールは全て完成品だが、配線接続用のピンヘッダのみ追加実装する。
尚、配線には前述の各種切替を考慮して直接結線ではなく着脱可能な ジャンパーケーブルを使用した。
USB変換モジュール実装時には切替用のスイッチを設けたいが、使用頻度がさほど高くないためこのままでもいいかな。
今回はAmazonで購入した格安のツールクリッパーを使用した。
購入したままでは若干使い勝手が良くない部分が有ったので、手持ちの部材を使って、各部のネジをつまみネジに交換・ワニ口の口先と指押し部分を熱収縮チューブでカバー・台座下にアルミ板を貼り付け・摺動部分にグリスを塗布した。
使った感想は…細かい作業や空中配線的な半田付けが随分楽になった。
動作チェック
各モジュールの設定は工場出荷状態のまま。
電源を入れて、PCでBluetooth機器検索を行うとモジュールが見つかったのでペアリング(初期PINコード:1234)する。
仮想COMポートとして認識された。(2)
「u-center」(GPSレシーバーベンダー u-blox が提供している設定・ 評価アプリ)で無事動作していることが確認出来た。
続けてサードパーティ製のGPS対応時刻合わせアプリ(NMEATime2)でも確認してみるが、こちらも正常に捕捉・検知・同期した。
室内の窓から1mほど離れた所に置いた状態でも結構な数の衛星を捕捉出来ている。
ケースへの組み込み
バラック状態で一通り正常動作が確認出来たので早速ケースに収めよう。
GPSアンテナモジュールも内部に収めるため、当然樹脂製ケースになる。
今回選択したケースには外部からアクセスできる電池ボックス(単三乾電池×2本)があり、電池交換が容易。
使用したDC-DCコンバータは単三乾電池は1本でも動作可能(最低駆動電圧:0.7V)だが、電圧がやや低いエネループの使用を想定し、2本を直列接続して駆動電圧を高めることで動作の安定化を図った。
GPSレシーバーとBluetooth変換モジュールはケースの底部・DC−DC変換モジュールは電池ボックスの側面に両面テープで固定した。
プリント基板を一枚置いた二階建て構造にして、上段にGPSアンテナを同じく両面テープで固定。
アンテナの手前側は、いずれUSB変換モジュールを置くためのスペースになる。