最近いろいろと電子工作(というほどでもないけれども)をしているが、
切断系の工具は手近にある大きめのニッパーだけ…当然ながら狭い箇所
での切断や細い線の被覆を剥くにはあまり適していない。
そういえば、昔使っていた細線用の工具(ニッパー、ラジオペンチ、 ワイヤーストラッパー)がどこかに有ったはず…と探しに探してようやく 発掘したのものの…長年の放置で赤錆まみれ…。
そんなに湿気が多い場所でも無いのになぁ…手汗が付着したままだったのかも。
高級品でもないし今は安価で高品質の工具がいろいろ出ているので
買い替えても良いけど…錆を落として少し手入れすればまだまだ使える
物を廃棄するのは勿体ない。
それに以前ほどに多用することも無いだろうから買い替えるほどでもないしね。
調べてみると、身近に有る家庭用品で比較的容易に錆落としが出来ると知り、早速試してみることにした。
Before
発掘したままのワイヤーストラッパー、ラジオペンチ、ニッパー。
見ての通りあちこちに無残な赤錆が…。
写真は事前準備としてグリップを剥がした状態。
用意した物
・カッターナイフ
・ナイロンブラシかステンレスブラシ(酸に強い素材)
・割りばし
・マジックリン
・サンポール
・パーツクリーナー
・グリス
サンポールは錆取り剤としても知る人ぞ知る逸品。
また錆取り後の強酸中和剤としてのマジックリンもこれまた知る人ぞ知る逸品。
洗剤洗浄後に手脂などを付けないように注意すればパーツクリーナーは不要、グリスも潤滑オイルで代用出来る。
グリップ外し
各工具のグリップにカッターナイフで切り込みを入れて剥がす。
剥がしたグリップを再利用するのであれば、再貼り付けした際に目立たず力が掛かり難い内側に切れ込みを入れると良い。
今回は、ラジオペンチとニッパーはグリップ自体の劣化も大きいため再利用はしない。
ワイヤーストリッパーのグリップは劣化が殆ど無く、またやや特殊な形状なので流用する。
ブラッシング
硬めのブラシで浮いている錆や埃、オイル/グリス滓をおおまかに落としておく。
洗浄
本体全体をマジックリンで洗浄して湯でしっかり洗い流す。
脱脂
油分/脂分が付着していると錆が落ちにくいため、パーツクリーナーで脱脂する。
手脂の付着を避けるため、素手で触れないように注意。
上記の洗浄をしっかり行っていれば本作業は省略しても構わない。
錆落とし
サンポール沼に脱脂した工具を漬ける。
サンポールの分量は、やや深めの樹脂製容器で工具がひたひたに漬かる程度。
しばらく漬け込むと反応が始まり錆の程度によっては泡立ってくるが、浅い容器ではこの泡や 液が溢れてしまうため、なるべく深い容器を使うか下にトレイなどを 敷いておく。
この泡や液が触れると材質によっては酷く腐食してしまう。
もちろん素手で触れたり、飛び散った液が皮膚や目などに飛散しないよう 十分に注意する。
直接素手では触れず、割りばしやビニール手袋着用(無ければ掌に厚手の ビニール袋を被せる)で取り扱う。
時折、ひっくり返して、ブラシや割りばしで表面を擦ると錆が落ちやすい。
中和
適度なところでサンポール沼から引き上げる…今回は約三時間漬け込んだ。
引き上げたまま放置すると強酸の影響で直ぐ錆てくるため、速やかに湯で洗い流して、 マジックリン沼に漬け込んで中和する。
しばらくしたら引き上げて湯で洗い流すが、この時にまだサンポールの 匂いが残っていれば、マジックリン沼への漬け込みから繰り返す。
乾燥
湯でしっかり洗い流した後、ドライヤーを使って完全に乾燥させる。
上の写真は乾燥後。
多少の痕跡は残ったが、かなり綺麗になったと思う。
黒染めやレタリングは殆ど落ちてしまったようだ。
この乾燥後に家庭用バーナー(ガス缶バーナー)を使った焼き入れと 焼きなましまでできれば尚良いが、素人には加減が難しいため 今回は見送り…いずれチャレンジしてみたい。
グリス塗布
潤滑と防錆のため全体に薄くグリスを塗布しておく。
今回使用したグリスは自転車の整備用に購入していた物だが、潤滑成分が 金属組織内部にまで浸透するため、防錆効果も期待出来る。
After
グリップを装着して出来上がり。
ラジオペンチとニッパーはオリジナルのグリップを再利用せず、
手持ちの熱収縮チューブで代用する。
そんなに力が加わる使い方はしないため(細いワイヤーの切断や 被覆剥きがメイン)、滑り止めになる程度で十分。
端切れ品を使ったため継ぎ接ぎになってしまったが、段差が微妙に滑り止めにもなって却って良かった。
ワイヤーストリッパーはオリジナルグリップを装着した上から熱収縮チューブで圧着した。
後記
作業に使ったサンポールとマジックリンの後始末…サンポールは 珈琲用ペーパーフィルターで濾過してトイレ掃除・マジックリンはシンクの掃除にそれぞれ有効活用した。