FT-818NDのリモート操作とPC環境セットアップ

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当初、FT-818NDとSCU-17経由で接続したRaspberryPiにWSJT-Xなど無線関係のアプリを入れて、MacBookPro/13からVNC経由でリモート操作するラジオコントロールサーバー的な運用を目指していたが…。

 

WSJT-Xの受信音レベル(RaspberryPiの音声入力レベル)調整が不十分でデコード率が芳しくない。
SCU-17の出力レベルを最小にしても大きすぎるため、RaspberryPi側で下げたいが音声入力デバイスが見つからない(音声出力デバイスは有る)。
また他にも、使いたいアプリ(818のコントロールや交信ログ管理)がほぼWindows一択という状況のため、RaspberryPiでの運用を諦めた。
現在はひとまず手持ちのWindowsPCに環境を仮構築して試用中だが、いずれは小型軽量なウルトラモバイルPC(UMPC)への移行を検討している。

 

 

USB接続のワイヤレス化思案(USBデバイスサーバ)

ここで課題になるのがSCU-17とPC間の接続(USB)。
無線機から離れた場所でPCを操作するとなると、このUSBケーブルを長々と引き回さなければならない。

無線機の近くにPCを置いて、別のPC(例えばMacBookPro/13)からVNCでリモート操作する方法もあるが、試してみたところRaspberryPiの場合と比べて反応が遥かに遅くて実用は難しい…しかも手持ち品は常置するには少々大きい。
高性能、且つ、コンパクトな専属PCを新たに買い足すのは出費が厳しい。(1) 

USBを直接ワイヤレス化するアダプタを調べていると、RaspberryPiを用いてUSBデバイスサーバを構築するVirtualHereというアプリが有ることを知った。
ハード的な追加や変更は特に必要無く、RaspberryPi側にサーバアプリ/使用するPC側に各OS(Linux、Windows、MacOS)対応のクライアントアプリをセットアップするだけで、RaspberryPiに接続したUSBデバイスを他のPCから ネットワーク経由で使用出来る…というもの。

対象のUSBデバイスは、キーボードやマウス、プリンタ、メモリ、HDD/SSD(供給電力の強化が必要)等の一般的な機器の他に、ゲーム用コントローラーやICカードリーダー、シリアルI/Fでも使用実績がある様子。
SCU-17での事例は無いが、アプリをセットアップするだけなので先ずは試してみよう。

尚、サーバアプリは、使用するUSBデバイスが一台のみの場合は無料版で良いが、複数のUSBデバイスを使用したい場合や、各プラットフォームに最適化されたサーバアプリ(使用USBデバイス数の制限無し)を使いたい場合は有料版を購入する必要がある。
クライアントアプリは無料で使用USBデバイス数の制限も無い。
サーバ/クライアントのいずれも、RaspberryPiや一般的なNASを含むLinux、Windows、MacOS、Androidの各種OSに対応している。

 

 

セットアップ(RaspberryPi側)

早速、RaspberryPiに無料版のサーバアプリ/PC側にWindows版のクライアントアプリをセットアップして、SCU-17が使用できるかどうか試してみた。

結論から書くと…問題無く使用できる。
但し、SCU-17は二台のUSB機器として認識されるため、制御と音声入出力を同時に使用するためには有料版のサーバアプリが必要になる。
先ず制御側を有効にした状態でWSJT-Xから818のコントロールを確認し、次に音声入出力側を有効にした状態でWSJT-Xへの受信音入力を確認した。
音声入出力の場合は遅延が気になるところだが、受信に関しては特に問題無くデコード出来ている様子。
送信は今後可能(デジタルモード追加変更が審査終了)になったら試して みよう。

 

また、RaspberryPiにUSB接続したGPSレシーバーを有効にした状態でNMEATime2での時刻合わせが正常に行えることも併せて確認出来た。
無線環境は窓の近くにあるのでGPSレシーバーの設置がし易く、USBデバイスサーバに収容できればPCに直接繋ぐ必要が無くなる。
先日作ったBluetooth接続のGPSレシーバーも有るが、長時間運用では やはり電池の持ちが気になるので、USB接続が使い易い。

 

この黒くて丸い物(サイズ:直径φ45×15mm程度)が今回新調したUSB接続のGPSレシーバーだが、 この様に窓から離れた位置に置いても十分な数の衛星を素早く捕捉し時刻補正してくれる。

さて、上記の結果から、これなら十分実用になると確信したので、RaspberryPi 3B+に最適化された有料版サーバソフトを購入。
SCU-17の制御と音声入出力、GPSレシーバーからの受信入力を同時に有効化し、各アプリで正常に認識・使用出来ることを確認した。

併せて、RaspberryPiから発生するノイズを減らすために、装着していたLCDを外した。
ノイズは大幅に少なくなり、無線環境の中に置いてもほぼ影響無し。
ケースもよりコンパクトな物に交換したが、発熱が大きいチップ全てが熱伝導シートを介してアルミ削り出し製ケースに繋がる構造で、ケース全体が放熱器になることで放熱効果が非常に高い。
ユーザー評価(複数)でも、他社の冷却ファン搭載ケースよりも温度上昇抑えられるとのこと。

 

 

セットアップ(PC側)

これで818の制御と音声入出力、GPSレシーバーからの受信入力がWi-Fi経由で行えるようになったので、続いてPC側の環境を整えよう。
今のところデジタルモード(FT8)での交信が主な目的なので、その方向で進める。(2) 

 

既にセットアップしているWSJT-XとTurboHAMLOGを引き続き使いたいので、この両アプリで818の制御を共有するためにVSPE(Virtual Serial Ports Emulator)を 導入。
VSPEの「Splitter」を使って一対一の仮想COMポートを生成する。(3)
WSJT-XとTurboHAMLOGのCOMポート設定では両方とも同じ仮想COMポートを指定する。
この「両方とも同じ仮想COMポートを指定する」ということになかなか気づかず、しばらく試行錯誤を繰り返した。
一点、VirtualHereによる仮想COMポートだからか、VSPEの起動時に初期化エラーでエミュレーションが開始出来ないことがたまにある。
発生するのは初回起動時のみで、数回エミュレーション始動を繰り返せば正常動作になり、その後はシャットダウンするまで安定稼働するため、実用上の問題は無い。

尚、使用例の多いOmniRigも試してみたが、TurboHAMLOGの挙動が不安定になった ため見送り。
恐らくVSPEの設定を詰めれば解決しそうだけど、現時点でOmnirigを使う必要が無いので現状維持…安定している環境は必要が無ければ弄るなとも言うしね。

 

他にはWSJT-Xのサポートアプリを二つ。
発信局に関する各種通知やQRZ.comのデータベースと連携した様々な情報を表示してくれるJTAlart、WSJT-Xでの交信記録をTurboHAMLOGへ転送してくれるJT_Linker
余談だが、他者の情報を参照するだけではなく、自分の情報も参照して貰えれば…とQRZ.comへの登録も済ませた。

 

そして、818の各種コントロールをするHamRadioDelux
818は表示や操作系が小さく、各種機能が深い階層状態になっていて、お世辞にも操作性が良いとは言えない。
PCを使うことでその操作性を補ってくれるのが、このアプリ。
現在は有料だが、無料の旧バージョンがネット上で入手可能だ。
早速、無料最終版(Ver.5.24.38 2012/10公開)を入手して試したところ、事前に試用した有料最新版(Ver.6.50 $99〜)よりも軽くて安定している印象。
818の前機種に当たる817(HRD上では817を選択)は古い機種なので、機能的には無料最終版で必要十分だろう。

JTAlartには、起動時に他のアプリを連続(待ち時間設定可)して自動起動し、終了時にはこの自動起動したアプリを自動終了する機能が有る。
この機能を使い、JTAlartを起動するとTurboHAMLOG⇒WSJT-X⇒JT_Linkerの順でそれぞれ少し時間を空けて起動するようにした。

 

次は音声(マイク/スピーカー)のワイヤレス化。
それと、SCU-17を経由してPCを使ったCWの送受信も可能なので、いずれ試してみたい。

 

ちなみに、冒頭の写真は我がシャック(^^ゞの全景。
幅50×奥行40cmの小さな台(ベッドサイドテーブル)の上に全ての器材を設置している。
見ての通りPCを置くスペースは無いし、ベッドの横ではないけど狭い所に置いているため、離れた場所にPCを置いてリモート操作するのは必須条件だった。
アンテナはモービルホイップ(RHM8B)を簡易スタンドに装着して、室内窓寄りに仮置きしている。

  1. その分をUMPCの購入に充てたい。 []
  2. 音声はそのうち、CWは多分無いかな…PCを使った送受信は試すかも。 []
  3. 他にも様々な機能が有るが、現時点で使うのはこのSplitterのみ。 []