ループアンテナ新調 … UltraLight Magnetic Loop antenna MC-20

【この記事の所要時間: 741秒】

QRP向けのHF帯用MLA「Alexloop WALKHAM PREMIER」を購入して2年少々、コロナ禍での外出自粛もあり屋内のみだけど、FT-818やIC-705でのFT8運用で使ってきた。
鉄筋集合住宅室内というプアな環境且つQRP(5W)ながら、それなりに交信出来ることにMLAの可能性と驚きを感じた。
⇒【ループアンテナ新調 … ALEXLOOP WALKHAM PREMIER

さて、しばらく前から、とあるアンテナが気になっていた。
UltraLight Magnetic Loop antenna MC-20」というスロヴェニアのアマチュア無線家(OM0ET/Paulさん)が製作しているアンテナ。(Alexloopアンテナもブラジルのアマチュア無線家(PY1AHD/Alexさん)が製作。)
構造やサイズ、対応周波数帯はほぼ同じだが、SWR特性はMC-20が優れていて全帯域で1.5以下を謳っている。
Alexloopでは屋内設置ということもあってか自分が試した環境では最良でも2未満にはならず、ATUを常用していた。
この低いSWR特性に期待したのが今回新調した大きな理由。

国内や海外の一般的なショップでの取り扱いは無く、製作者のサイトで注文すると折返し製作者自身から納期や支払い方法についての連絡があり、それに従って支払う(PayPalで指定メールアドレス宛にユーロで支払い)…という流れ。
注文した時はちょうど在庫切れで製作待ちだったが、発送まで一週間・発送から到着まで一週間の計二週間で届いた。(EMS指定)

UltraLight Magnetic Loop antenna MC-20

梱包箱(キャリングケース兼用)

梱包箱

この箱を透明のビニールシートで覆った状態で配送されたが、傷みは上方の引っかき傷(恐らく通関時に書類の取り出しで切られた痕)と右下の小さな凹みのみ。
箱のサイズは幅43×高41×奥行14cm。

取っ手付き

携行時のキャリングケースとして使用することも想定されていて、上部に取っ手が付いている。
ただ、やや大きめのサイズなので、Alexloopのようなキャリングバッグ(17インチ・ノートPC用が良いらしい)が有ると良さそう。

発送時の識別用と思われるメモ書き
前面に貼られた製品ラベル(別途、英文の説明書が同梱されている)

最大入力は20Wだけど、FT8などデジタルモードの場合は半分の10W以下に抑えて欲しいとのこと。
(製作者とのメールの遣り取り…かなり気さく…で念押しをされた。)

パッケージと構成品

上段
下段

内部は二層構成になっている。
・上段…メインループ、差し込み式ポールの最下段
・下段…カプリングループ、チューニングユニット、差し込み式ポールの最上段と中間段

左下にはやや大きめのスペースが有るが…旧モデルでは何か別の構成品が有ったのだろうか?(今回購入した物は新モデル。)
ATU(不要だけど保険代わり)やモバイルバッテリーなどを収めるのに良さそう。

差し込み式ポール(上から、最上段/最下段/中間段)

中間段のポールにはカプリングループと無線機に接続する同軸ケーブル(両端:BNC-P、長さ約420cm)が装着されている。

最下段の底部に嵌め込まれた三脚取付用アダプタ
三脚取付用アダプタ

差し込み式パイプの最下段底部には三脚(雲台)に取り付けるためのネジ穴が開けられたアダプタが嵌め込まれている。
長さ65mmでアルミ無垢材が使われていてかなりしっかりしている。
Alexloopでは自作(公開されている3Dプリントデータを使ってDMM.makeで製作していただいた)のアダプタを用意したが、MC-20では標準装備。

組み立て

カプリングループの固定
チューニングユニットの固定

カプリングユニットとチューニングユニットはそれぞれに装着されたバックルを締めてポール(三段組み上げた状態で約120cm長)に固定する。
取り外す際は、バックルの片側同士をそれぞれ上下にずらして解除する。

カプリングループ⇒メインループの順で保持部分に引っ掛ける
保持部分のカバーを横からスライドして嵌める
固定完了
カプリングループ

カプリングループ下部のコネクタ(BNC-J)に、中間段ポールから出ている同軸ケーブルの一端(BNC-P)を接続する。
尚、カプリングループの直径は約25cmで、使用されている線材はかなり硬い。

チューニングユニット

メインループの両端(M-P)をチューニングユニット左右のコネクタ(M-J)にそれぞれ接続する。
メインループの直径は約1m、線材はAlexloopに比べると少し硬めだが、癖がないため形を整え易い。

上:カプリングループに接続する同軸ケーブル/下:メインループの同軸ケーブル

ちなみに、カプリングループに接続する同軸ケーブルは「HELUKABEL(ドイツ)」製、メインループの同軸ケーブルは「BELDEN(オランダ)」製。

チューニングダイヤル

チューニングダイヤルは小ぶりだが、ギア付きバリコンが使用されていて調整し易い。
ただ、チューニングユニット底部から下向きのため、低い姿勢じゃないとちょっと操作し難いかな。

SWR特性

7MHz帯(7041kHz):1.42
10MHz帯(10136kHz):1.05
14MHz帯(14074kHz):1.38
18MHz(18100kHz):1.10
21MHz(21074kHz):1.36
24MHz(24915kHz):1.21
28MHz(28074kHz):1.17

7MHz 〜28MHz各バンドでFT8運用周波数のSWR特性をアンテナアナライザ(SARK-110)で測定。
室内設置のため参考値だけど、全てに於いて公称通り1.5未満に収まっている。
チューニングのし易さもあって、測定周波数をピンポイントで合わせるのは割と容易だった。

余談

アンテナスタンド(三脚&一脚)

アンテナスタンド(三脚&一脚)

脚を大きく広げられて安定感があるローアングルタイプの三脚に一脚を組み合わせて嵩上げしている。(この状態で全高70cmほど。)

脚は二段階伸張

各脚は伸張(30cm⇒50cm)することが出来、設置場所が広ければ更に安定度が増す。

接地部分(石突き)

この三脚は石突き部分が変わっていて、一般的な尖ったり丸みを帯びた形状ではなく、吸盤っぽい円盤になっている。
このため比較的軟らかい地面でも埋まり難く、接地面がゴム製なので室内でも床面を傷付け難い。

折り畳みサイズ

折り畳んだ時のサイズはそれぞれ30cmほど、幅はあるものの比較的コンパクトになる。

スリック製

三脚も一脚も共に同じメーカー(スリック)製。
但し、英文表記は三脚が「SLICK」で一脚は「SLIK」…調べてみると1974年に英文表記をSLICKからSLIKに変更したとのこと。
ということはこの三脚は1974年以前の製品なのか。(かなり前にヤフオクで入手。)
更に調べると、1973年にグッドデザイン賞を受賞した「グットマンS-103」らしい。
今年でちょうど半世紀になるんだな。
ちなみに一脚は「S-POLE DIGITAL」…今から15年程前の製品で、こちらも既に廃番。

アンテナアナライザ(SARK-110)用スタンド(アンテナベース)

SARK-110 入力端子はMCX

今回、SWR特性の測定に使用したアンテナアナライザはSARK-110
手持ちのNanoVNA-Fに比べると機能や測定周波数範囲の点でやや下回るものの、使用感(PCのアプリ含む)はこちらの方が好みかな。
ただ、唯一惜しいのが入力端子がMCXということ。
差し込み嵌合式のため強く引っ張ると抜けてしまうし(コネクタ部分が抜けなくても、コネクタに圧着しているケーブルが抜けたという事例も有り)、横方向からの力で測定特性が変わってしまう場合も有るとか。

そのため、よりしっかりとケーブル(コネクタ)接続が出来、SARK-110のコネクタ部分になるべく負担を掛けないように、スタンド(アンテナベース)を作ってみた。

スタンド(アンテナベース)
スタンド(アンテナベース)

手持ちのアンテナ基台を二つ組み合わせて「コ」の字型にして、元のM型コネクタを装着する穴にパネル装着用BNC-J⇔SMA-P変換ケーブルを固定し、SMA-L型中継コネクタとSMA-MCX変換アダプタを介してSARK-110に接続。
上面には滑り止めシートを貼り、SARK-110に装着しているシリコンカバーとの摩擦で半固定している。
中にウェイトを置けば、そこそこ重量のあるホイップアンテナでも直結出来るだろう。


[HiGOLE GOLE1 Pro] 充電/給電と冷却

【この記事の所要時間: 733秒】

昨年末に購入した超ミニPC「HiGOLE GOLE1 Pro」…コンパクトで、意外とキビキビ動き、小さい画面サイズながら視認性が良いことから、すっかりお気に入り。
それらの特長を活かして、FT8(アマチュア無線のデジタルモード)運用端末としても良いかも…と、FT-818やIC-705との組み合わせを色々思案中。
⇒【[HIGOLE GOLE1 PRO] 超ミニで拡張性大なWIN11タブレットPC
⇒【[HIGOLE GOLE1 PRO] 関連小物いろいろ

そこで以前から少々気になっている充電/給電と冷却について対処を考えてみた。

充電/給電対処

GOLE1 Proの電源端子はUSB Type-CだけどPDには対応しておらず、基本的に付属のACアダプタ(スイッチング式でUSB Type-Cプラグ出力)しか使えないが、一般的なACアダプタ(12V/2A以上)のDCプラグ出力をUSB Type-Cへ変換して使用しているケースをどなたかのブログで見かけた。
あくまでも自己責任になるが他のACアダプタも使えるということで、もし付属のACアダプタが故障しても代替品の入手は難しくない…ひとまず安心要素。
とはいえ、この方法はモバイルバッテリーでは使用できないし、ACアダプタ自体も最近の小型高出力の物を使用したい。
情報収集していると、PD対応ACアダプタやモバイルバッテリーから特定の電圧出力(今回は12V)を取り出すトリガーケーブルと、そのトリガーケーブルの出力コネクタ(DCプラグ)をUSB Type-Cへ変換するケーブルの組み合わせでGOLE1 Proへ充電/給電出来たという記事を見つけた。
⇒『ARROWS Tab V567/Pよりも高性能なスマートフォンサイズのPC Gole1 Pro Mini PC』(モバイルやIT機器を活用するSINのモバイル修行3rd 復活編)

早速、同じケーブルをAmazonで購入し、手持ちのPD対応ACアダプタで試したところ、充電/給電ともに問題無し。(あくまでも自己責任で。)

トリガーケーブル(左)と変換ケーブル(右)、トータルの長さは約1.5m
付属ACアダプタを使用…当然ながら問題無く給電(充電)している。
PDの対応ACアダプタとPD対応USBケーブルを使用…残念ながら全く給電していない。
PD対応ACアダプタとトリガーケーブル&変換ケーブルを使用…僅かに電圧が低いが問題無く給電(充電)している。

これでACアダプタの選択の幅が格段に広がるし、モバイルバッテリーでの使用も可能になる。

冷却対処

GOLE1 Proはファンレス(金属ボディ自体を放熱に使用)ということもあって結構発熱する。
特に給電/充電しながらだとバッテリー自体の発熱もあって、Windows Update等の高負荷時には素手では持ち続けるのが辛いくらいの熱さ(CPU温度で70℃台後半)になることも。
発熱が多いことは事前に或る程度見聞きしていたので、高負荷時の熱影響を少しでも軽減したく本体と併せてスマホ用クーラーを購入していた。
ペルチェ素子&ファンの構成で冷却性能はそこそこ有るものの、バッテリー内蔵のため結構嵩張る上にバッテリー稼働時間がさほど長く無くて結局外部から給電する必要が有る、スタンドの脚部分が薄いプラスチック製のためやや重量の有るGOLE1 Proを載せて使うには少々心許無い…。
⇒【[HIGOLE GOLE1 PRO] 関連小物いろいろ

使用時にはGOLE1 Proから給電するのでバッテリーは不要、コンパクトなアクティブタイプ(ペルチェ素子&ファン)と、なるべく嵩張らないような薄いパッシブタイプ(ヒートシンク)の二種のスマホクーラーを購入してみた。

アクティブタイプクーラー(ペルチェ素子&ファン)

排気側
機器への貼り付け側

スマホやタブレットの背面に貼り付けるスマホクーラー。
機器に近い側から熱伝導シート⇒ペルチェ素子⇒ヒートシンク⇒ファンといった構造になっている。
サイズは横70mm×縦45mm×厚20mmと、やや厚さが有るものの比較的小型軽量。
小さな吸盤と熱伝導シートの粘着力でデバイスに貼り付ける。
尚、予備として吸盤4個・熱伝導シート3枚と、他に給電用USBケーブル(Type-A⇒micro)とスマホへの装着を補強するゴムバンド?が付属している。

給電用microUSB端子
給電ケーブル(USB Type-A⇒microUSB)
給電ケーブル接続
給電ケーブル接続

給電用microUSB端子は貼り付け面にかなり近いため、樹脂カバー部分の厚さが有るコネクタだと、貼り付けの際に干渉する恐れがある。
購入者のレビューでは付属のUSBケーブルでも干渉したとの報告も見られた。
今回は取り回しを考えて両端がライトアングルになっていて短い物を予定していたため、併せてmicroUSBコネクタが極力小さい物を探した。
microUSBコネクタはライトアングルや小型の物が多いので、こういう目的にはUSB Type-Cよりも向いているように思う。

GOLE1 Proに装着

GOLE1 Pro側とクーラー側の両方ともライトアングルコネクタの向きが合っていて、ケーブルも細めで長さ(12cm)がちょうど良く、スッキリまとまった。
装着確認なので吸盤だけだが割としっかり貼り付いている。
熱伝導シートの粘着力が加われば、縦置きしても強い振動を与えなければ、そう簡単にはズレ落ちたりしないだろう。
厚さがほぼ倍になるのは仕方なし。

実際に使ってみて…今回はそこまで発熱する用途が無かったので冷却効果の判断は割愛。
ファンの駆動音については、室内の静かな状況でも殆ど気にならない。
購入者レビューでは貼り付ける側によっては共振して結構響く場合もあるとのことなので、使う環境次第かと。
GOLE1 Proは割と厚さがある金属ボディで重く、内部も結構詰まっているため、さほど響かないのかも。

パッシブタイプクーラー(ヒートシンク)

表面
側面
裏面

前面に溝が掘られた、いわゆるヒートシンク。
変わった形状なのは、スマホのカメラレンズを回避するため。
裏には一面に熱伝導シートが貼られている。
サイズは横105mm×縦60mm×厚3mm。
背面が覆われるケースとの共用はまず無理、バンパータイプなら併用出来るがワイヤレス充電は当然ながら阻害されてしまう。(GOLE1 Proはケースもバンパーも装着せず、ワイヤレス充電も無いので影響無し。)

先のクーラーとの併用は出来ないが、コンパクトにまとめるならコチラの方が向いているかな、給電も不要だし。
効果を調べてから使い分けを考えよう。

タッチパッド付き折り畳みワイヤレスキーボード(Bluetooth)

GOLE1 Proではキーボードとタッチパッドが一体化した小型ワイヤレスキーボードを使っているが、文字入力が多くなってくるとキーボードが少々小さすぎるし、タッチパッドの操作をしたい時には都度裏返す必要があり煩雑な上に時々上下や左右が反転してしまい(再度裏返して戻すと直る)、使い難さを感じるようになってきた。
また、Windowsが使えない時でも操作出来るように専用USBドングル使用タイプにしたが、そういう機会は早々無いし(もちろん無いほうがいい)、USBポートを一つ専有するのも惜しい。
⇒【[HIGOLE GOLE1 PRO] 関連小物いろいろ

折り畳んだ状態
折り畳んだ状態でGOLE1 Proとサイズ比較
展開して使用状態

そんなわけで、タッチパッド付きでBluetooth仕様のワイヤレスキーボードを新調した。
サイズは、折り畳んだ状態で横150mm×縦100mm×厚16〜20mm、展開した状態で横300mm×縦100mm×厚8〜16mm。(厚さに幅が有るのは、手前に向かって僅かに傾斜した形状になっているため。)
キートップは一部幅が狭いキーも有るが概ね15mm角、間隔が広めでクリック感も有り、割と打鍵し易い。
タッチパッドは横57mm×縦85mm。
iOS・Windows・Androidに対応し切り替えて使用できるため、iPhoneやiPad mini(どちらか一方)でも活用出来るだろう。

元の小型キーボードは予備としてGOLE1 Proと一緒にセミハードケースへ入れておこう。


またもや見えるラジオ…DeepSDR 101

【この記事の所要時間: 926秒】

最近は大きめ(4インチ前後)の液晶ディスプレイを搭載し、様々な情報をリアルタイム表示してくれる受信機/無線機が主流のようで、自分自身もIC-7300とIC-705の二台を使用している。
コンパクトサイズにもMalachite/Malahite/Malahit(以下、Malachite系と略)のようなDSP SDRレシーバーが有り、今は既に手放してしまったが、かつて「Malachite DSP SDR Receiver HQ」という製品を使用していたことがある。
⇒【今風の見えるラジオ…MALACHITE DSP SDR RECEIVER HQ

手放して暫く経ち、ふと海外の通販サイト(Aliexpress)で見掛けたDSP SDR レシーバーの鮮やかなボディカラーに興味を持ち、前述のMalachite系とは異なるアーキテクチャであることと、何よりも格安な(完全金属製ボディで液晶ディスプレイも大きいのにMalachite系より安い)点に惹かれて購入してみた。

DeepSDR 101(アンテナはSV2CZFのアクティブホイップMWA30)

DeepelecのDeepSDR 101

ディスプレイ4.3インチ(800×480)IPS液晶 輝度調整可
制御方法抵抗膜式タッチ スクリーン + ロータリー エンコーダー
周波数範囲100k~149MHz
復調モードCW、AM、SSB(LSB/USB)、WFM、FMステレオ(ステレオヘッドホン使用時)
周波数ステップ1Hz/10Hz/100Hz/1kHz/10kHz/100kHz/1MHz/10MHz
スペクトラム表示帯域192kHz、128kHz、 64kHz FFT リアルタイムスペクトル表示
アンテナ端子BNC-J、インピーダンス 50Ω、最大入力電力 -20dBm
リファレンス発振器TCXO 26MHz ±0.5ppm
サンプリングレート16bit
イヤホン端子φ3.5mmステレオ
内蔵スピーカー最大 3W、4Ω マルチメディア スピーカー
充電端子USB Type-C、5.0V/2A
消費電流約 250mA @ 5V
内蔵バッテリー容量5000mAh/3.7V、18.5Wh
使用可能時間約10~12時間(出力音量とディスプレイの明るさによって変動)
メモリ機能99 チャンネルをプリセット、局名等のテキスト(2行)/周波数/復調モードを記憶
※CSVフォーマットのため、Excel(互換アプリ含む)やテキストエディタで編集可
サイズ横136×縦74×奥行22mm(突起物含まず)
重量約310g
主な仕様

構成品

付属のセミハードケース
収納状態
構成品一式

本体と付属品が収納出来るPVC製のセミハードケースが付属している。
この手のケースは黒色が一般的だけど、付属品は濃紺色が実に色鮮やかで新鮮。

他の付属品は、一枚紙の説明書(英文/中文)、折り畳みスタンド、スタイラスペン、液晶保護フィルム、ロッドアンテナ(7段・最長70cm)、USBケーブル。
液晶保護フィルムはディスプレイにジャストサイズなので、本体を開けて作業すると綺麗に貼れる。

外観

前面

鮮やかなメタリックブルー(水色っぽい)のボディ、ツマミ(ロータリーエンコーダー)が一つだけ、アンテナ端子がBNCといったところが、外観上でMalachite系と大きく異る部分。
また、表示は一見Malachite系と似ているが、復調モードなどの各種設定がスペクトラム表示の上に有り、また受信レベルメーターが無く数値(dBm)表示のみといった点が直ぐに判る違いだろうか。

右側面

前述の通り、ツマミ(ロータリーエンコーダー)は一つ。
下方に向かって、通電/充電インジケーターLED、USB-A端子(5V出力…大容量内蔵バッテリーを活かしてモバイルバッテリーとしても使える)、電源スイッチ、USB-C端子(充電/通信用)。
Malachite系の電源スイッチは押しボタンの長押しで反応が悪いとなかなか電源OFFに出来ない場合も有ったが、これは単純なスライドスイッチなのでON/OFFともに簡単。

左側面

アンテナ端子はBNC…SMAに比べて着脱が容易で頑丈なので、これは嬉しい。
下がφ3.5mmのミニプラグ端子で、ステレオイヤホン/ヘッドホンを使えばFM放送をステレオで聴くことが出来る。

背面

ブロックダイアグラムがプリントされている。
Webサイトに記載されているものはアンテナ端子とLNAの間に受信帯域毎のフィルター群が記載されているが、こちらでは省略。
プリントだけの省略なのか、回路そのものも省略されたのかは不明。(前者であって欲しい)

操作系

チャンネル(メモリ)選択1〜99
周波数設定100k~149MHz、最小ステップ1Hz
※タップすることでテンキーで直接入力も可能
スピーカー音量(SPK)0~35dB、1dBステップ
イヤホン音量(EAR)0~35dB、1dBステップ
復調モードCW、LSB、USB、AM、WFM、STE(FMステレオ)、I/Q
AGC設定OFF、SLOW、MID、FAST
基準レベル(REF)-99~99dB, 1dB step
バックライト輝度(LCD)1%~99%
IFゲイン-12~67dB, 1dB step
スペクトラム表示スタイル設定緑色塗り潰し、緑色線のみ、青色塗り潰し、白色塗り潰し
スペクトラム帯域幅設定RF スペクトル (192kHz、128kHz、64kHz) およびオーディオスペクトル (64kHz)
ウォーターフォールエリア設定ウォーターフォールまたは音声レベルグラフ(x1 / x8 / x64 振幅)
ロータリーエンコーダーで設定出来る項目

搭載されているロータリーエンコーダーは一つ。
押すことで項目を選択し、回して設定を変更する。
尚、エンコーダー短押しで選択出来る項目は、上の表で「チャンネル(メモリ)選択」から「復調モード」までの5項目。
その他はエンコーダーを押しながら回して選ぶ必要があり、結構手間が掛かる。
尚、単に長押ししていると、その時点のチャンネルの現在の周波数と復調モードを上書き保存するため、うっかり書き換えてしまう恐れが有る。

せっかくのタッチパネルなのにタッチ操作で設定出来るのは周波数のみ。
他の機能もタッチで選択⇒ロータリーエンコーダーで設定が出来れば遥かに使い易くなるのに…何故こんな仕様にしたのか理解不能。
ロータリーエンコーダーの押し込み操作を多用するのでヘタリが心配。

周波数入力画面

周波数入力画面はNanoVNA等でもお馴染みのタイプ。
キャンセルは無いが、何も入力せずにバックスペース「⇐」をタップすれば設定を更新することなく戻る。

試用

操作系はかなり癖があり、各種機能をタッチパネルでダイレクトに選択・設定出来るMalachite系に比べて、使い勝手はお世辞にも良いとは言えないが、良く聴く局を予め登録しておいて選んで聴く・同じ局を良く聴くのであればさほど気にならないか。

肝心の受信性能は同じアンテナ・同じ時間帯で比べた感じではMalachiteよりやや良好で、音質的にも聴きやすいと感じた。
ただ、中波帯で強力な局(自宅ではJORF 1422kHz)の近くではスペクトラム表示上にゴーストが出易い。

バッテリーの持ちはMalachite系と比べて明らかに上。
以前使っていたMalachite DSP SDR Receiver HQではこのDeepSDR 101と同じく5000mAhのバッテリーに換装していたが、使用時の消費が大きいことに加えて未使用時の消費も結構大きく、気づいたら空…なんてことがあった。

時刻の精度もMalachite系と比べて優秀で、設定してから結構経つが数秒程度のズレに収まっている。

メモリ機能は便利

メモリ内容表示(右端)

このラジオは局を探して聴くというよりも、予めメモリ登録した局を選んで聴くスタイルを想定しているようだ。
メモリ(チャンネル)は99有り、局名(メモテキスト…上の写真では右上の緑文字)/周波数/復調モードを保存出来る。
メモテキストは上下二行で、それぞれ最大で中国語6文字または英語12文字表示出来る。
(中国語が可能であれば日本語の漢字も或る程度は表示出来そうな気もするので、今度試してみよう。)
局名の他にも放送曜日や時間帯を入れるのも便利。
このメモリ情報はCSV形式のため、Excelや互換アプリ、テキストエディタで作成・編集出来る。
DeepSDR 101をパソコンにUSB接続しロータリーエンコーダーを押しながら電源をONにすると、外部ストレージとして認識されるためファイルを直接編集することも可能。
また、チャンネル切替でメモリを呼び出す他に、チューニングしていて登録されている周波数と合致するとメモリ内容が表示されるという、いわば双方向の動作になっている。

メモリファイル(channel.csv)

スピーカー音量が大きい

スピーカー音量(SPK)/イヤホン音量(EAR)

上の写真ではスピーカー音量は最小(消音ではない)・イヤホン音量はオフ(消音)にしているが、この状態でもスピーカーからの音がかなり大きい。
受信強度や、基準レベル/IFゲインの設定によってもかなり変動するが、基本的に大きすぎる。
また、AGCの挙動が今ひとつ怪しくアテにならず。(海外のユーザーレビューでもAGCが使い物にならないと酷評されている。)

イヤホンの音量調整は多少まともだけど、スピーカーの音量がどうにも大きすぎるので対策を思案中。

内蔵スピーカー

内蔵スピーカーとフロントパネルの間に5mmほどの隙間があるので、ウレタンスポンジを詰めて減音を試みたものの、吸音素材であっても5mm程度の薄さでは殆ど効果が無く、僅かに籠もった程度。

内部(スピーカー周辺)

それならスピーカーと直列に抵抗を入れてみる?…可変抵抗なら音量調整も容易になるし…と考えてみたものの、果たして単純に抵抗を直列接続しても良いものか。
それに、現状では可変抵抗を実装するスペースが無い。(理想はイヤホン端子の横辺りにツマミを設けたい。)
スピーカーを横にずらせば小型ポテンショメータ(9mm角)なら実装出来そうだけども。
というわけで、ひとまず検討継続。

さて、今後はどうなる?

本製品の登場は2022年8月。
その後ファームウェアアップデートの予定が告知されたが、現時点(2023年2月)で未だ出ていない。
メーカーのサイトを見ても昨年秋以降の新たな動きが無く、本製品に関する情報も出ていないため、もはやこのまま終息してしまうのではないかと内心思っている。
ユーザーフォーラム的な場でも以前は操作性の改善要望や機能的な問題(AGCや音量)の報告が挙がっていたが、今では何ら動きが無いことに対する批判がチラホラ有る程度で閑散としている。
Malachite系とは異なるアーキテクチャだし、ファームウェアの更新で機能の改善や拡張など大いに期待できるだけに、このまま終わってしまうとしたら非常に惜しい。