QRP向けのHF帯用MLA「Alexloop WALKHAM PREMIER」を購入して2年少々、コロナ禍での外出自粛もあり屋内のみだけど、FT-818やIC-705でのFT8運用で使ってきた。
鉄筋集合住宅室内というプアな環境且つQRP(5W)ながら、それなりに交信出来ることにMLAの可能性と驚きを感じた。
⇒【ループアンテナ新調 … ALEXLOOP WALKHAM PREMIER】
さて、しばらく前から、とあるアンテナが気になっていた。
「UltraLight Magnetic Loop antenna MC-20」というスロヴェニアのアマチュア無線家(OM0ET/Paulさん)が製作しているアンテナ。(Alexloopアンテナもブラジルのアマチュア無線家(PY1AHD/Alexさん)が製作。)
構造やサイズ、対応周波数帯はほぼ同じだが、SWR特性はMC-20が優れていて全帯域で1.5以下を謳っている。
Alexloopでは屋内設置ということもあってか自分が試した環境では最良でも2未満にはならず、ATUを常用していた。
この低いSWR特性に期待したのが今回新調した大きな理由。
国内や海外の一般的なショップでの取り扱いは無く、製作者のサイトで注文すると折返し製作者自身から納期や支払い方法についての連絡があり、それに従って支払う(PayPalで指定メールアドレス宛にユーロで支払い)…という流れ。
注文した時はちょうど在庫切れで製作待ちだったが、発送まで一週間・発送から到着まで一週間の計二週間で届いた。(EMS指定)
梱包箱(キャリングケース兼用)
この箱を透明のビニールシートで覆った状態で配送されたが、傷みは上方の引っかき傷(恐らく通関時に書類の取り出しで切られた痕)と右下の小さな凹みのみ。
箱のサイズは幅43×高41×奥行14cm。
携行時のキャリングケースとして使用することも想定されていて、上部に取っ手が付いている。
ただ、やや大きめのサイズなので、Alexloopのようなキャリングバッグ(17インチ・ノートPC用が良いらしい)が有ると良さそう。
最大入力は20Wだけど、FT8などデジタルモードの場合は半分の10W以下に抑えて欲しいとのこと。
(製作者とのメールの遣り取り…かなり気さく…で念押しをされた。)
パッケージと構成品
内部は二層構成になっている。
・上段…メインループ、差し込み式ポールの最下段
・下段…カプリングループ、チューニングユニット、差し込み式ポールの最上段と中間段
左下にはやや大きめのスペースが有るが…旧モデルでは何か別の構成品が有ったのだろうか?(今回購入した物は新モデル。)
ATU(不要だけど保険代わり)やモバイルバッテリーなどを収めるのに良さそう。
中間段のポールにはカプリングループと無線機に接続する同軸ケーブル(両端:BNC-P、長さ約420cm)が装着されている。
差し込み式パイプの最下段底部には三脚(雲台)に取り付けるためのネジ穴が開けられたアダプタが嵌め込まれている。
長さ65mmでアルミ無垢材が使われていてかなりしっかりしている。
Alexloopでは自作(公開されている3Dプリントデータを使ってDMM.makeで製作していただいた)のアダプタを用意したが、MC-20では標準装備。
組み立て
カプリングユニットとチューニングユニットはそれぞれに装着されたバックルを締めてポール(三段組み上げた状態で約120cm長)に固定する。
取り外す際は、バックルの片側同士をそれぞれ上下にずらして解除する。
カプリングループ下部のコネクタ(BNC-J)に、中間段ポールから出ている同軸ケーブルの一端(BNC-P)を接続する。
尚、カプリングループの直径は約25cmで、使用されている線材はかなり硬い。
メインループの両端(M-P)をチューニングユニット左右のコネクタ(M-J)にそれぞれ接続する。
メインループの直径は約1m、線材はAlexloopに比べると少し硬めだが、癖がないため形を整え易い。
ちなみに、カプリングループに接続する同軸ケーブルは「HELUKABEL(ドイツ)」製、メインループの同軸ケーブルは「BELDEN(オランダ)」製。
チューニングダイヤルは小ぶりだが、ギア付きバリコンが使用されていて調整し易い。
ただ、チューニングユニット底部から下向きのため、低い姿勢じゃないとちょっと操作し難いかな。
SWR特性
7MHz 〜28MHz各バンドでFT8運用周波数のSWR特性をアンテナアナライザ(SARK-110)で測定。
室内設置のため参考値だけど、全てに於いて公称通り1.5未満に収まっている。
チューニングのし易さもあって、測定周波数をピンポイントで合わせるのは割と容易だった。
余談
アンテナスタンド(三脚&一脚)
脚を大きく広げられて安定感があるローアングルタイプの三脚に一脚を組み合わせて嵩上げしている。(この状態で全高70cmほど。)
各脚は伸張(30cm⇒50cm)することが出来、設置場所が広ければ更に安定度が増す。
この三脚は石突き部分が変わっていて、一般的な尖ったり丸みを帯びた形状ではなく、吸盤っぽい円盤になっている。
このため比較的軟らかい地面でも埋まり難く、接地面がゴム製なので室内でも床面を傷付け難い。
折り畳んだ時のサイズはそれぞれ30cmほど、幅はあるものの比較的コンパクトになる。
三脚も一脚も共に同じメーカー(スリック)製。
但し、英文表記は三脚が「SLICK」で一脚は「SLIK」…調べてみると1974年に英文表記をSLICKからSLIKに変更したとのこと。
ということはこの三脚は1974年以前の製品なのか。(かなり前にヤフオクで入手。)
更に調べると、1973年にグッドデザイン賞を受賞した「グットマンS-103」らしい。
今年でちょうど半世紀になるんだな。
ちなみに一脚は「S-POLE DIGITAL」…今から15年程前の製品で、こちらも既に廃番。
アンテナアナライザ(SARK-110)用スタンド(アンテナベース)
今回、SWR特性の測定に使用したアンテナアナライザはSARK-110。
手持ちのNanoVNA-Fに比べると機能や測定周波数範囲の点でやや下回るものの、使用感(PCのアプリ含む)はこちらの方が好みかな。
ただ、唯一惜しいのが入力端子がMCXということ。
差し込み嵌合式のため強く引っ張ると抜けてしまうし(コネクタ部分が抜けなくても、コネクタに圧着しているケーブルが抜けたという事例も有り)、横方向からの力で測定特性が変わってしまう場合も有るとか。
そのため、よりしっかりとケーブル(コネクタ)接続が出来、SARK-110のコネクタ部分になるべく負担を掛けないように、スタンド(アンテナベース)を作ってみた。
手持ちのアンテナ基台を二つ組み合わせて「コ」の字型にして、元のM型コネクタを装着する穴にパネル装着用BNC-J⇔SMA-P変換ケーブルを固定し、SMA-L型中継コネクタとSMA-MCX変換アダプタを介してSARK-110に接続。
上面には滑り止めシートを貼り、SARK-110に装着しているシリコンカバーとの摩擦で半固定している。
中にウェイトを置けば、そこそこ重量のあるホイップアンテナでも直結出来るだろう。