Last Updated on 2026/08/14 by りょう

アンテナは左からGPS/自作micro-whip系中短波受信用/Raspberry Pi純正WiFi
3Dプリントで作成した試作版を暫く使ってみて新たな改良点を見出せなかった(すっかり気に入った)ので、いよいよ正式版としてCNC加工を発注した。
発注先はJLCCNC…見積依頼ページからデータファイル(今回はSTEPフォーマットを使用)をアップロードするとAIによる自動見積もりが行われ、使用素材や表面仕上げなどに応じておおよその費用が即座に判る。
但し、形状が複雑だったり「CNC加工設計指針」ギリギリの場合は担当者による手動見積もりになる。
いずれの場合も実際に依頼すると担当者によるレビューが行われて、加工時に変形や破損の恐れが有る場合は変更対応を求められる。
※担当者レビューの結果によっては見積金額が変わる場合も有る。
レビュー承認後に支払いを行うと生産に移るが、実際に生産が始まるまでは注文内容の変更(見積もりとレビューを再実施)や注文のキャンセルが出来る。
今回は三点(パネルベース、バッテリードア、アンテナマウントパネル)を依頼し、いずれも自動見積もりで通ったが、その後のレビューでパネルベースに二点の指摘が有り修正後に再アップロード。
修正内容は、吸気口グリルのハニカム内角を丸めたのと、上側左右固定ネジのザグリ部分の壁が薄かったためザグリ径を縮小して壁の厚さを増した。(このため固定ネジもスリムヘッドネジへ変更。)
モデリング時点で上述の「CNC加工設計指針」を意識していたが、この二点はたぶん大丈夫だろうと見逃していた箇所だった。
依頼から生産、配送を経て手元に届くまで十日足らずで、特に配送は発送から配達まで二日という迅速さ。
素材はアルミニウム合金7075-T6、表面仕上げはビーズブラスト&ハードアノダイズドでカラーはナチュラルを選択。
アルミニウム合金6061-T6の方が安価だが価格差は一割程度なので、それならより強度の高い方を…と。
カラーは他にブラックも選択出来たが、uConsoleのフレーム(純正)もブラックでしかも塗装のため色合いが異なる同色は却ってバラついた感じになるため避けた。
フロントパネルがガンメタルグレーなので間に締め色のブラックを挟んで同系統の色合いにした方が良い感じになりそうだしね。
CNC加工以外のパーツ(スタンド、ボトムガード、排気口グリルプレート)やその他のパーツ(ネオジム磁石、スチールプレート、ピグテイルケーブル、ダストプラグ)、組立手順は試作版と同じため割愛する。
※固定ネジはザグリ径を縮小したため頭径がΦ8mmのスリムヘッドネジ(M4×20mm)へ変更。
CNC加工で作成したパーツ
パネルベース、バッテリードア、アンテナマウントパネル



上の画像ではカーキっぽい色合いだが光の当たり具合では緑色が混ざったオリーブグリーンっぽい色合いにも見える。
この色の変化もかなり気に入っている。
尚、パーツ個別のハードアノダイズド(硬質アルマイト)処理では素材や切削向き、処理液などの僅かな違いによって発色が変わってくるらしく、パネルベースとバッテリードアの色合いに違いが見られる。
この程度なら許容範囲だしアクセントにもなって良い感じだが、もし気になる場合は対象パーツをまとめて処理することで緩和出来るらしく、その旨を依頼時に指示しておく。
また、バッテリードアのように薄くて広い形状で片面のみ切削するような場合は反りが発生し易いとのことで、今回は依頼時に極力反りを抑えるように指示しておいた。
おかげで反りは全く無く、パネルベースへの嵌め込みも完璧だった。
他のパーツも完璧な仕上がり。
パネルベースとバッテリードアの嵌め合いは、それぞれの切削精度による変動やハードアノダイズによる被膜厚さの変動などにより面一にするのが非常に難しいため僅かにドアが沈むような設計にしたが、実際に出来たものはこれらの変動が上手く噛み合ったのか殆ど面一になった。
色については、7075-T6は強化のため亜鉛や銅の含有率が高く、均一に混ざっていない場合(偏析)はアノダイズド(アルマイト)処理の際に色ムラが出易く、特に今回のようなハードアノダイズドでナチュラルカラーの場合は顕著とのこと。
色ムラを避けるには、強度は落ちるが5052や6061などの素材を用いて、ハードでは無い通常のType IIアノダイズド処理を選択しブラックカラーが推奨らしい。
パネルベース表面のように広く平坦な面は特に色ムラを起こしやすいとか。
そう考えると、今回のような7075-T6を用いてハードアノダイズド処理のナチュラルカラーながら表面には色ムラが(少なくとも自身が分かる程度には)見られないのは奇跡的なことかも。
(内側は下の写真のように極僅かな色ムラが見られるが隠れる面なので問題無し。)

吸気口のハニカムメッシュと排気口のグリルプレートスリット
細部も実に見事な加工
外観
スタンド/ボトムガード未装着


スタンド/ボトムガード装着



スタンドの角度は試作版と同じままなのでほぼ垂直だけど、押しても勝手に倒れることなくボトムガード装着で滑り難い。
但し、大幅な重量増に対応するため部分的に太くして強度を増している。
細部
左右排気口


排気口はアクティブクーラーのファンからの空気が流れやすいようにヒートシンク側面と位置を合わせている。
バッテリードア

バッテリーホルダーの右横に有る黒くて薄い箱はCM5搭載RTCのバックアップバッテリー(CR2032)用ホルダー
その手前に有る金属パーツはLoRa用ダミーロード…誤って電源をOnにして送信状態になった際にデバイスを保護する
重量比較


試作版から正式版で重量は約200g増加。
ちなみにオリジナルは約450gなので、正式版ではほぼ二倍になっている。
※いずれもコアとバッテリーを含み、試作版と正式版では更にAIO拡張ボードV2とNVMe SSD(2280)を追加している。
各種保護
フッ素コーティング的なもの
カスタムバックパネルは7075-T6材を使用しビーズブラスト&ハードアノダイズド加工、フロントパネル(有志頒布のカスタム品)もハードアノダイズド加工(アルミ材の詳細とブラスト処理の有無は不明)。
いずれも表面強度はかなり高いが、油脂(汗や手脂など)による変色対策をしておきたい。
簡易的な手法だがフッ素コーティング的なものを施すことにした。

- キムワイプなど毛羽立ち難い紙や布にIPAを噴いて、フロントパネル/リアパネルの表面を拭く。
- IPAは速乾性が高いが念のため少しおいて完全に乾かす。
- マイクロファイバークロスに速乾性フッ素系潤滑剤を吹いて、フロントパネル/リアパネルの表面に塗布する。
使用したフッ素系潤滑剤(KURE No.1043)は金属(アルマイト加工されたアルミサッシも含む)・木・ゴム・プラスチックに使用出来て、全くベタつかない。
異種金属間の電食抑止
今まで余り気にしたことが無かったけれど、異なる金属材を長く接触させていると一方もしくは両方に腐食や変色が発生する「電食(電蝕)」と呼ばれる現象が有る。
uConsoleの場合、標準ではフロントパネル/フレーム/リアパネルはいずれもマグネシウム合金で全面が塗装されており、パネル固定ネジも塗装されたスチール製なのでこの現象は起こりにくい。
カスタマイズによりフロントパネルとリアパネルは共にアルミ合金に変わり、固定ネジもパネルとの色合いからフロントパネル用はチタン製・リアパネル用はステンレス製に変更している。
このアルミ素材とチタン素材もしくはステンレス素材は電食が比較的起こり易い組み合わせらしい。
また、ネジの頭を埋め込むための凹み(ザグリ)により手汗など湿気が溜まり易いのも現象を促進してしまうとか。
ひとまず直接の接触を避け、湿気の入り込みを抑えるために固定ネジに薄いナイロンワッシャーを用いることにした。
同様にアンテナマウントパネルにSMAコネクタを固定する際にも3DPで作成※した樹脂ワッシャーを用いている。
いずれもネジを閉めた際のパネルへの擦れなどを防ぐ目的も有る。
※SMAコネクタのネジ径は約6.5mmで一般的なM6用ワッシャーは嵌らないし、内径7mm・外径10mm・厚さ1mmという要求を満たす市販品も見当たらなかったため3DP(PETG/充填率100%)で作成した。
アンテナ端子(SMAコネクタ)の保護
各種アンテナを装着した状態では結構嵩張るし、万が一何かに引っ掛けたりすると破損の恐れが有る。
そのため、常用するWiFi以外のSDR用やGPS用のアンテナはそれぞれ使う都度装着するようにしているが、割と頻繁に着脱することになり、SMAコネクタ篏合部のネジや中央端子の損耗が気になる所。
一般的にはSMAコネクタの着脱回数は500回程度が上限とのこと。
SMAコネクタ(ピグテイルケーブル)自体は安価だし交換の手間もさほど掛からないが、交換に伴って基板側コネクタ(U/FL/IPEX1)の着脱を繰り返すことによる損耗も心配。(むしろこちらの方が傷みやすい。)
なのでなるべく交換せずに済むようにしたい。
何か良い対処は無いかと調べると、アンテナ端子にオス/メスの短い中継コネクタを装着しておき、損耗したらその中継コネクタを交換する…という方法が有った。

手持ちに有ったが、オス/メス変換ではなくSMA/RP-SMAの変換でもなく延長というほどの長さも無いため
その様な用途を想定しているのか不思議だったが、「SMAセーバー」とも呼ばれているらしいことから、今回のような容易に交換出来ないコネクタの保護という目的(も有るの)だろうか。
同じ形状とサイズでSMA/RP-SMAの変換も有り、そちらが一般的。


約10mmほど高くなるがさほど気にならず、アンテナを常時装着しているのに比べれば遥かに安心。
また、高くなったおかげで自作アクティブアンテナの着脱(ネジ締め/緩め)がし易くなった。
LoRaの誤送信対処
外装の保護ではないが、これも一種の保護ということで。
実装しているAIO拡張ボードV2にはRTL/SDR/GPS/LoRa/USB3.0(外部/内部)の機能が有り、この内のSDR/GPS/LoRa/USB3.0(内部)はコントロールアプリ(aiov2_ctl)により個別に電源をOn/Off出来る。
起動時にはSDR以外は全てOffになっているため、例えばGPSを使用する場合はアプリでOnにするわけだが、チェックボックス形式で直近にLoRaのチェックボックスが有るため誤ってOnにしてしまう可能性が有る。
LoRaは唯一送信機能が有り、しかも最大送信出力は「+22dBm(約158mW)」と結構大きいため、アンテナ未接続での送信はデバイスへの悪影響を起こす可能性が高い。
現状でLoRaは使用予定が無く、また技適未取得のためアンテナを繋いでおくわけにはいかない。(そもそも接続コネクタの余裕も無い。)
というわけで、万が一誤って電源をOnにして送信状態になってしまった際にデバイスを保護する目的で市販の50Ω終端器をダミーロード代わりに繋いでおくことにした。

SMAコネクタタイプの50Ω終端器(商品説明では上限3GHz/1W)をピグテイルケーブル(L型SMA/U.FL/IPEX1)でAIO拡張ボードV2のLoRa用アンテナ端子に接続。
3Dプリントでホルダーを作成し、フレームに両面テープで貼り付けている。
最大158mW程度の出力で短時間であれば発熱は殆ど無いためPETGでも問題無いはず。
滑り止め

反対側の側面にも貼り付けている
置いた状態から持ち上げる際にはフレーム(黒い部分)を左右から指先で挟む感じ…流石に重量増でうっかりすると滑り落としそうになる。
その回避で市販の滑り止めシールを指が触れる位置に貼り付けた。
僅かな粘着感が有り、指先が汗などで酷く湿っていない限りは滑る恐れは無さそう。
フレームと同じ艶消し黒色なので目立ち難く、この部分は指で結構触れてきたことで僅かに色落ちしてムラっぽくなっていたので化粧直し代わりにもなる。
純正のフレームはダイキャスト製・塗装(元々ムラが有る上に薄れたり剥がれ易くてかなり残念)仕上げなので、いずれフロント/バックパネルと同じくCNC製・ビーズブラスト&ハードアノダイズド仕上げで作成したい。
さて
ひとまずバックパネルについてはこれで完成形。
最厚部(バッテリースペース)はオリジナルより僅かに薄いとはいえ平坦デザインで分厚く見えるが、実際に使ってみて持った感じや使い心地はかなり良い。
しっかりした金属製バックパネルの上部にアンテナマウントが有るため、アンテナの着脱が容易でしっかり装着出来る。(何かにアンテナを引っ掛ける恐れがあるので使用時以外は極力外しておきたい。)
金属の硬質感とヒンヤリ感、光りの当たり具合によって微妙に変わる色合いも実に好み。
フロントパネルのガンメタルグレー(ハードアノダイズド)、フレームのマットブラック(塗装)との組み合わせにも満足している。
オリジナルの約二倍という900g超の重量も普段から持ち回ったり立って使うわけではないので殆ど気にならず、むしろ置いて使う際には安定感が増した。(純正バックパネルに比べて背面が平坦なのも貢献している。)
冒頭の写真でアンテナ端子に装着している黒くて四角い箱状の物は、自作の中波~短波受信用micro-whip系アンテナ。
これまでも何度かuConsole(AIO拡張ボード初代/V2のSDR機能)と組み合わせて使ったことが有るが、受信信号強度が弱くノイズの多さも目立つなど今一つだったため仕舞い込んでいた。
今回カスタムバックパネル(正式版)へ交換後にたまたま使ってみたところ、以前に比べて明らかにノイズが少なくなり、中波~短波帯の受信状態が結構良好だったので現役復帰した。
今では内蔵SDR(AIO拡張ボードV2)とSDR++ BrownEditionで中波放送や短波放送を聴く機会が増えた。
今回のカスタムバックパネル(正式版)への交換後に受信状況が明らかに向上した理由で思い当たるのが、まさにバックパネルの換装。
初代AIO拡張ボードを装着した直後に最初の自作バックパネル(3Dプリント製)へ換装して以来、常に樹脂製バックパネルを使い続けてきた。
純正品を除くと初めての金属製バックパネル。
フレームやフロントパネルと共に外装が全て金属製になったことで静電・電磁シールド(ファラデーケージ効果)が効いているのではないだろうか?
コア(CM5)やAIO拡張ボードなどが発する電磁ノイズが金属製外装で遮蔽されて接続したアンテナからの回り込みが抑えられ、またバックパネルに施されたハードアノダイズド処理が高周波の電磁波に対しては金属単体と同等の優れたシールド特性を有するとも聞く。
ふと
バックパネルを金属製にするのなら純正と同じくパネル自体をヒートシンクとして使えるのでは?…と検討当初に考えてみたけれど下記の理由から割とすぐに見送った。
- Raspberry Pi CM5上の放熱対象デバイスとパネル背面との間隙の調整が少々大変。
間隙が開き過ぎるとサーマルパッドが厚くなって効率が落ちるし、逆に狭いとデバイスやCM5本体、アダプタボード、メインボードに対して強く圧迫することになり、パネルが受けた衝撃も強く伝わってしまう。 - 純正と同じくパネルを開ける度にサーマルパッドが剥がれるため劣化が早い。
また、対象デバイスが複数有り、高さ(厚さ)が様々なのでサーマルパッドの使い分けが必要。 - ファンを使う場合はパネル側に装着することになるため、パネルとフレームとの間にケーブルが架線状態になりパネルを開け閉めする際の制約になるし、ファン駆動時の振動が手に伝わり易くなる。
- 平坦な形状にして18650バッテリーを収納するために最低限必要な高さ(厚さ)を確保すると市販のアクティブクーラーを十分収納可能なスペースも確保出来るので敢えてパネルをヒートシンクにする必要が無い。
更に上部にアンテナコネクタ(SMA)を装着する余裕も出来る。 - 背面にヒートシンク状の凹凸を設けると手触りが悪くなり、衝撃による変形の可能性も高くなる。
アルミCNC製にした最大の目的が「滑らかでヒンヤリした金属の質感」なのも大きな理由。
ヒートシンク形状の切削やファン固定用のネジ穴加工(タッピング)は加工コスト増が大きいのもある。
写真(Leica M10-D、Ricoh GRⅢ)、アマチュア無線(JR4WDU)、デジタルガジェット、3Dプリント、ミリタリー(トイガン、小物)…などなど、興味の赴くままに広く浅く細く長く愉しんでいます。








