3Dプリンター製ケースのGAWANT系アンテナを作成

【この記事の所要時間: 714秒】
FT-818に装着して7MHz帯を受信中

3Dプリンターを導入したら是非とも作成したかった物の一つがGAWANT系アンテナのケース。
随分前にGAWANT系アンテナの情報収集中に見掛けて以来、気になっていた。

3Dプリンターを導入し、幾つか小物を作って或る程度慣れてきたので、早速作成してみた。
上記のリンク先で公開されているデータを手持ちの部材に合わせて修正・調整するため、アプリの操作や編集手順に慣れる必要が有った。

尚、回路に関しても本ケースの作者(K1FM Alainさん)がブログ記事内にて公開している。

先ずは公開データで試しプリント

4ピース構成(公開データ)

ケースは回路が入るベース部分とその裏蓋、BNCコネクタ装着部分、ロッドアンテナ保持部分の計4ピースで構成されている。
開口部など細部を手持ち部材と現物合わせするため、先ずは公開データのままプリントしてみる。
フィラメント設定のみ元のPLAから自身が使用しているPLA+へ変更。

プリント時にプレートへ接していた面(底面)はプレート表面の痕が付いて梨地風になっている。
以前作成したRTL-SDR BLOG V4用クーラーでは良い感じのアクセントになったが、今回はベース部分と裏蓋の面積が広いため逆にクドくなってしまう。
またサポートを設定していなかったためオーバーハングになる部分は引いたフィラメントが目立って粗い。
ケース部分と裏蓋の底面を組み立てた際に梨地が目立たない面へ変更し、更にサポートを設定した。

公開データ修正

ベース部分(修正前)
ベース部分(修正後)

●ベース部分
公開データではトロイダルコアの保持が無いため、トグルスイッチ(写真内の丸穴に装着)と端(写真内右上)の間にトロイダルコアを嵌め込む棒を追加。

ロッドアンテナ固定部分(修正前)
ロッドアンテナ固定部分(修正後)

ロッドアンテナのネジ固定面を全面に広げて且つ厚さも増して強化した。
また、手持ちロッドアンテナの固定ネジ(M4)に合わせてネジ穴を修正している。

他には、前面の周波数帯切り替えスイッチの左右に「H」と「L」の文字を追加した。
最初はシールを考えていたけれど、せっかく文字入れが出来るのだから…と。
(実は自局のコールサインも入れていたが、ケースも回路もオリジナルじゃないのに少々烏滸がましいかな…と削除。)

BNCコネクタ装着部分(修正前)
BNCコネクタ装着部分(修正後)

●BNCコネクタ装着部分
中央の端子部分の開口部が狭かったため、手持ちの現物に併せて拡張した。

ロッドアンテナ保持部分(修正前) ※僅かな変更なので修正後の写真は無し

●ロッドアンテナ保持部分
手持ちのロッドアンテナが隙間無く且つ無理無く通るように開口部の径を調整した。

完成版(1.4mロッドアンテナ)

前面
背面
内部

ロッドアンテナのネジ固定面(写真左端)を全面に拡げたことにより、更にしっかり固定されている。
また、追加した棒(写真右寄り)にトロイダルコアがピッタリ保持されている。
(トロイダルコアは二枚におろしたゴムブッシングで上下から挟んで固定している。)

サイズ(突出部含む)
・長さ:アンテナ短縮時29cm/アンテナ伸長時150cm
・幅:4cm
・厚さ:4cm
・重さ:133g

Wonder Wand Wide−Bander mkⅡ(INLINE)とサイズ比較

Wonder Wand Wide−Bander mkⅡ(INLINE)と比較

Wonder Wand Wide−Bander mkⅡ(INLINE)と比べて、長さはほぼ同じ・幅は3割増・厚さは3割減で容積的にはほぼ同等、重さはWonder Wand Wide−Bander mkⅡ(INLINE)が60gほど重い。(UHF⇔BNC変換コネクタやロッドアンテナのBNCコネクタ部分を除けばほぼ同等かも。)

測定

実際の測定は周囲の影響を受け難い所でアンテナを垂直にして行った

7MHzから28MHzのそれぞれFT8運用周波数でSWR値を測定し、全てのポイントで1.5未満まで下がることを確認。
同調範囲としては概ね5MHzから35MHz。

周波数帯切り替え
・L:5MHz~19MHz(アマチュア無線バンド:7/10/14/18MHz)
・H:9MHz~35MHz(アマチュア無線バンド:10/14/18/21/24/28MHz)

FT-818で使用

1.4mロッドアンテナ版は長さ(全長1.5m)/重さ(約133g)的にさほど負担は掛からない。
2mロッドアンテナ版は長さ(全長2.1m)/重さ(約213g)ともにかなり増すため、この形態(FT-818の折り畳みアンテナ基台)での使用は少々不安定になりそう。(少なくとも無風もしくは微風状態で、且つ、ロッドアンテナは垂直に伸ばす。)

ロングバージョン(2mロッドアンテナ)

2mロッドアンテナ

手持ちの長い(2m)ロッドアンテナも使用出来るように保持部分を作成。
1.4mロッドアンテナに比べて長さと重さ(約110g)が大きく増すため、保持部分を長くしてネジ留め部分も厚くしている。

ロッドアンテナの固定ネジサイズが異なるため(1.4m:M4/2m:M3)、交換の際には固定ネジも換える必要が有り手間が掛かる。(固定ネジを抜き取るにはポリバリコンをケースから外さなければならない。)
M3雄ネジ⇔M4雌ネジのネジ変換アダプタ(異径アダプタ)が有れば、2mロッドアンテナをM4対応に出来て交換の手間が大いに省ける…けれども、そのアダプタがなかなか見つからない。
一段大きなM4雄ネジ⇔M5雌ネジや逆変換のM3雌ネジ⇔M4雄ネジは普通に見つかるのに。
旋盤が有れば自作可能だけど…流石にそこまでするのなら2mロッドアンテナのネジ穴をM4に切り直した方が早いかも。

⇒その後、流用できそうなパーツを入手↓。

M3雄ネジ⇔M4雌ネジ変換アダプタと導電ブリッジ

ラジコン関連でM3雄ネジ⇔M4雌ネジ変換アダプタ(異径スペーサー)を見つけて早速購入。
表面が黒染めされていて通電しないため、真鍮製ラグ端子でブリッジを作成した。

接続状況…この後、ロッドアンテナ保持部をベースに密着させてネジ留めする

固定ネジ径が異なるロッドアンテナ(1.4m:M4/2m:M3)を使うためこんな手間を掛けているけれど、2mロッドアンテナを常用するのなら固定ネジをM3に変える方が当然簡単。(現状ではネジを変えるにはポリバリコンを取り出す必要が有る。)
今後の使用状況で判断しよう。

1.4mロッドアンテナとの比較

こちらも7MHzから28MHzのそれぞれFT8運用周波数でSWR値を測定し、全てのポイントで1.5未満まで下がることを確認。
1.4mロッドアンテナ版に比べてSWR値がより低くまで下がり、低い範囲もやや拡がるようになった。
同調範囲としては概ね5MHzから35MHzで特に変わらず。

周波数帯切り替え
・L:5MHz~22MHz(アマチュア無線バンド:7/10/14/18/21MHz)
・H:13MHz~35MHz(アマチュア無線バンド:14/18/21/24/28MHz)

サイズ(突出部含む)
・長さ:アンテナ短縮時36cm/アンテナ伸長時210cm
・幅:4cm
・厚さ:4cm
・重さ:213g

実際にFT-818の折り畳みアンテナ基台に装着してみると、一応支えられはするものの安定設置で無風の室内だから何とかなっている感じが否めない。
屋外ではアンテナを垂直にした上で無風状態が大前提になりそう。