uConsole … FT8運用環境構築② 交信ログ管理と交信状況可視化(TQSL / CQRLOG / GridTracker2)

【この記事の所要時間: 136秒】
IC-705とWiFI接続したuConsoleでFT8運用

uConsoleとIC-705をワイヤレス接続してFT8運用する環境が出来たので、次は交信ログを各オンラインログサービスへ転送する仕組みを構築する。

運用環境が複数有る場合に悩ましい交信ログの管理…オンラインログサービスをマスターにして各環境からアクセスすれば統合・共有が可能になる。
併せて、メイン環境と同様に交信完了後に自動アップロード出来れば転送の手間も省ける。

メイン環境はJTAlertとGridTrackerで複数サービスへの転送を担っているが、残念ながらJTAlertはRaspberry Piでは使えない。
情報収集してみると「CQRLOG」がオンラインログサービスへの転送機能も充実しているので選択。
GridTracker(現在はGridTracker2)はRaspberry Pi対応版も有るので併せて選択した。

uConsole

TQSL

LoTW(ARRL)とログのアップロード/ダウンロードを行うアプリ。(アクセス認証も有り。)

インストール
メニューの【設定】内に有る「Add / Remove Software」を実行
「TQSL」で検索

LoTWへのログアップロードで欠かせないTQSL(TrustedQSL)。
最新版(Linux用は現時点で2.8.1)を望む場合はソースを入手してビルドする必要が有るが、今回は手軽に「Add / Remove Software」アプリケーション経由でインストールした。(バージョン2.6.5)
バージョンはやや古いものの、実際に何度かアップロードしてみて特に問題は発生していない。

検索結果から対象ファイルのチェックボックスをチェックして右下に有る【Apply】ボタンをクリックするとインストールされる。
※最新版のソースファイルと詳細なビルド手順はARRLのTQSL Downloadページで提供されている。

セットアップ
【局の所在地】⇒【局の所在地】
【局の所在地の編集】(新規の場合は【局の所在地の作成】) ※IOTA番号欄が空白
【局の所在地のプロパティ】 ※IOTA番号は反映されている

各種情報を入力(選択)する。
「局の所在地の編集」でIOTA番号を入力しても再度この画面を開くと空欄に戻っているが、「局の所在地のプロパティ」で確認すると反映されている。

【局の所在地の編集】(新規の場合は【局の所在地の作成】)

局の所在地名称」を入力する。

【局の所在地】⇒【コールサイン証明書】

予め取得した「コールサイン証明書」を登録する。

CQRLOG

交信ログの管理や各種オンラインサービスへのアップロード/ダウンロードを行うアプリ。

インストール
「CQRLOG」で検索

こちらも「Add / Remove Software」アプリケーション経由でインストール。
検索結果から対象ファイルのチェックボックスをチェックして右下に有る【Apply】ボタンをクリックするとインストールされる。

アプリケーション経由は最新版だが、ClubLogへのログをアップロードする際にエラーになる。
各サービスのアクセス先URLがアプリ内で固定設定されていて、最新版公開後のClubLogのURL変更に対応出来ていないため。
他にHamQTHとHRDLogも同様に内部設定されているが、こちらはURLが変更されていないため正常にアクセス出来る。

この各アクセス先URLをユーザーが任意に編集可能にした他、数多く(現時点で大小570箇所)の変更を加えたクローンバージョン(CQRLOG Alpha)が有志により開発・公開されている。

クローンバージョン(Alpha版)は提供されているスクリプトを使用することで、既存のオリジナルバージョンに追加(一部置換)でインストールする。

★各種設定や交信ログデータは一応保持されるものの、万が一に備えてバックアップを取っておく。

下記のページからクローンバージョンのインストールスクリプト「newupdate.zip」をダウンロードして、アーカイブから展開された「newupdate.sh」実行する。
あとは表示に従って進めればOK。
尚、uConsole(Raspberry Pi)で使用する場合は、途中のバイナリファイル選択で「ARM」バージョンを選ぶ。
詳細な手順についても下記のページに記載されている。

尚、クローンバージョンをアップデートする際も同様の手順で行う。

セットアップ
アプリ起動直後…既存のログを選択して開く(新規の場合は作成する)
New QSOウィンドウ:【File】⇒【Preferences】
【TRX control】

・Radio 1
 Host:空欄
 □ Run rigctld when program starts」:チェックを外す

※Radio 2も同様に設定する。

この設定を行わないと、起動時にrigctldへのアクセス試行を繰り返してタイムアウトエラーになる。
アプリ自体は起動するが、このリトライで結構待たされてしまう。
今回はCQRLOGからのリグ制御を行わないため不要。

【ROT control】

・Rotor one
 Host:空欄
 □ Run rotctld when program starts:チェックを外す

※Rotor twoも同様に設定する。

この設定を行わないと、起動時にrotctldへのアクセス試行を繰り返してタイムアウトエラーになる。
アプリ自体は起動するが、このリトライで結構待たされてしまう。
今回はCQRLOGからのローテーター制御を行わないため不要。(そもそもローテーターは使っていない。)

【LoTW / eQSL support】

・Data for access to ARRL LoTW website
 User name:「登録コールサイン
 Password:「登録パスワード
・Data for access to eQSL website
 User name:「登録コールサイン
 Password:「登録パスワード

【fldgi / wsjt interface】

・Reading data from wsjtx
 Frequency from:「wsjtx
 Mode from:「wsjtx
・ADIF port:「2333」/ ADIF addr:「127.0.0.1
・Wsjt port:「2238」/ Wsjt addr:「127.0.0.1

【Callbook support】

・Callbook search
 「QRZ.com」※登録済みで利用したいサービス
 User name:「登録コールサイン
 Password:「登録パスワード

【Online log upload】

・HamQTH
 □Enable upload to HamQTH:HamQTHを利用する場合はチェックを入れる
 □Upload QSO data immediately:交信完了後に直ぐアップロードする場合はチェックを入れる
 User name:「登録コールサイン
 Password:「登録パスワード
・ClubLog
 □Enable upload to ClubLog:ClubLogを利用する場合はチェックを入れる
 □Upload QSO data immediately:交信完了後に直ぐアップロードする場合はチェックを入れる
 Callsign:「登録コールサイン
 Password:「登録パスワード
 Email:「登録メールアドレス
・HRDLog
 □Enable upload to HRDLog.net:HRDLogを利用する場合はチェックを入れる
 □Upload QSO data immediately:交信完了後に直ぐアップロードする場合はチェックを入れる
 Callsign:「登録コールサイン
 Code:「取得したアップロードコード

ログウィンドウ:【QSL】⇒【LoTW】
【Export for LoTW】

・tqsl command line arguments:
 パス中のダブルクォーテーション(””)内はTQSLで設定した「局の所在地名称」を記述する。

ログウィンドウ:【QSL】⇒【eQSL】⇒【Upload QSO to eQSL.cc】
【Upload QSO to eQSL.cc】

・QTH Nicname:「eQSL.ccで登録している自局QTH名

GridTracker2

交信相手局の位置(グリッド)を世界地図上に表示し、交信時には相手局との軌跡も表示してくれるアプリ。(オンラインログサービスへのアップロード機能も有り。)

インストール
「GridTracker」で検索

こちらも「Add / Remove Software」アプリケーション経由でインストール。
検索結果から対象ファイルのチェックボックスをチェックして右下に有る【Apply】ボタンをクリックするとインストールされる。

公式サイト(ダウンロードページ)から直接ダウンロードする場合は「Linux ARM32 / Debian」を選択する。
尚、既にビルド済みの「debファイル」なので、ダウンロード後にそのままインストール出来る。

セットアップ
ツールパレット内・上から二段目の右端に有る「歯車」のアイコンをクリックして設定画面を開く⇒【General】

・Receive UDP Messages
 Port:「2237
・Forward UDP Messages
 IP:「127.0.0.1」/ Port:「2238
 Enabled:☑(チェックを入れる
・Center GridSquare:「中央に表示したいグリッド

設定画面⇒【Logging】

GridTracker2でも複数のオンラインログサービスへの自動ログ転送に対応している。
CQRLOGではeQSLとLoTWへの転送が手動のため、この2サービスはGridTracker2へ任せてみるのも良いかもしれない。

WSJT-X

CQRLOGやGridTracker2に交信情報を配信するための設定を行う。

セットアップ(一部設定変更)
【設定】⇒【レポート】

・UDPサーバー
 UDPサーバー:「127.0.0.1
 UDPサーバーのポート番号:「2237
 ☑UDP要求を受け付ける:チェックを入れる
・セカンドUDPサーバー
 ☑ADIFログ情報をブロードキャスト:チェックを入れる
 サーバー名またはIPアドレス:「127.0.0.1
 サーバーのポート番号:「2333

【重要】(CQRLOG起動時にWSJT-Xとの連携を有効にする)

CQRLOGの「New QSO」ウィンドウ:【File】⇒【Remote mode for wsjt】を有効にする
有効化すると「New QSO」ウィンドウ内左上に赤字で「Wsjtx remote」の表示が出る

CQRLOGまで起動が完了したら、【Remote mode for wsjt】にチェックを入れて有効にする。
この操作を行わずに交信するとログが残らない。

※直前の交信のみはWSJT-Xのメイン画面内に有る【QSOをログ】をクリックすることでログ登録が可能。

★起動時に自動で有効にする場合はCQRLOGの起動時にコマンドオプション(- -remote=J)を付ける。

cqrlog --remote=J

運用チェック

交信完了後、ログの自動アップロード状況表示

各アプリケーションの実行順は、【WFview】⇒【WSJT-X】⇒【GridTracker2】⇒【CQRLOG】。
それぞれ一定の時間間隔で順次実行する仕組みを作れば便利。
TQSLはCQRLOGでLoTWへアクセスする際に呼び出されるため個別での実行は不要。

当初、LoTWとClubLogへのログアップロードが出来なかったが、LoTWはメインテナンス中(結構長かった模様)、ClubLogは前述の通りCQRLOGに要因が有り、対処方法を調べていて知ったクローンバージョン(Alpha版)に置き換えたところ難無く成功。
その後、LoTWもメインテナンス終了後に確認し、正常にアップロード出来た。

尚、eQSLとLoTWへのアップロードは手動のみ、HamQTH/ClubLog/HRDLogへのアップロードは自動と手動の両方に対応している。
QRZ.comに対しては(QRZ.comの)有償オプション契約が必要になるが、GridTracker2で自動アップロード出来る。(現在はQRZ.com内でLoTWから手動でインポートしている。)

uConsoleの画面は1280×720(5インチ)とけして広くは無いため、WSJT-Xのメイン画面とワイドグラフ画面を表示しただけでも結構窮屈。
そこにGridTracker2も追加で表示するとなるとWSJT-Xの画面に重ねるしか。
常時見ることはなく、交信中に相手局の位置や繋がっている様子を見て楽しめれば良いと割り切ることにした。

これでメインとほぼ同等の環境が構築出来た。

次の目標はFT8運用の要、正確な時刻の確立。
インターネット接続が可能な環境ならNTPで時刻同期出来るが、不可の場合はGPSで時刻同期出来るようにしたい。(uConsoleにはGPS機能も持つAll In One拡張ボードを実装しており、GPSアンテナも装着可。)