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ふと、海外のサイトで見掛けた無線機…軍用無線機っぽい面構え(フロントパネル、トップカバー)でオリーブドラブや迷彩のミリタリー系塗装…軍用無線機かと思ったら、民生品(アマチュア無線機)、しかも国内メーカー品のiCOM / IC-7200だった。
ミリタリー風塗装はイベントの展示用や海外ショップによるカスタマイズで市販品はブラックカラーのみ。
最初は見た目で興味を持ったIC-7200だけど、いろいろ調べてみると機能や性能もなかなか良いことが分かった。
まず一番の目的である受信機としては、海外のサイトでは「iCOM / IC-R75に匹敵する」と中々の高評価。
IC-R75が現役だった頃、実際に入手を考えて国内外のサイトを巡って情報収集したことがあり、匹敵する(同等)ということならかなり期待出来る。
尤も、既に販売終了から10年ほど経っている製品なので、最近(現行~1、2世代前)の機種とは比べられないだろうけれども。
以前使用していたIC-7300で初めて使って感動し、その後もIC-705で大変お世話になっているTWIN PBT…近接混信の抑止に大変効果がある。
IC-7200は二重ツマミで独立して調整出来、IFシフトとしても使用できる。
他に、NB(ノイズブランカ)、NR(ノイズリダクション)、ANF(オートノッチフィルタ)、MNF(マニュアルノッチフィルタ)、受信プリアンプ、アッテネーターなど基本且つ重要な機能が一通り揃っていて、それぞれが独立した物理ボタンやツマミなので直感的に操作出来る。
同様にテンキーで周波数の直接入力やバンドの直接選択が出来るのも非常に使い易い。
最近は大きなディスプレイで情報量は豊富ながら機能の選択や設定変更はタッチパネルで階層を移動していく操作系なので直感的という点では今ひとつかなと。(個人的感想)
VFOはA/Bの二つ…IC-R75は一つなので、この点はIC-7200が上。
メモリは1~199の199chとプログラム(設定した上限・下限周波数内での)スキャン用が有り、保持されたメモリのchをスキャンするメモリスキャンも可。
送信性能については、24時間/365日休み無く連続送信しているビーコン局で広く採用されているということから、少なくとも信頼性と安定性についてはかなり高いと思われる。
古いモデルながら既にUSB対応していて、USBケーブル一本でPCに接続するだけでFT8運用も可能。
メーカーのリモートコントロールアプリ(iCOM / RS-BA1 Version2)にも対応している。
更に調べると、見た目だけではなく内部もかなりタフに作られている模様。
外装は樹脂ながら結構厚くて硬すぎず軟らかすぎずの素材(流石に耐衝撃樹脂ではないだろうけれども)、そして内部は分厚いアルミダイキャスト製のフレームが収まり、開口出来る部分には全てゴム製シーリングが張り巡らされている。
海外のレビュー記事では、万が一上から珈琲を零しても内部には一切浸透せず、そのまま流れ落ちるだろう…と記されている。
フロントパネルの各操作部分(ボタン、ツマミ)にもゴム製シーリングが施され、防水では無いものの防滴相当になっている。
以下のリンク先に内部の詳しい写真が掲載されている。
ミリタリー風な外観、タフな内部構造、(最新機には及ばないものの)優れた送受信機能…すっかり気に入ってしまった。
古い機種だし周波数範囲がHFと50MHzのみでFM(変調)に対応していないということもあり、国内での評価は余り高く無く中古相場は比較的低めで、オプション一切無しのIC-R75よりも安いケースが少なくない。
早速ヤフオクを覗いたところ、標準付属品は一切無いものの今では入手難なオプション品(MB-116 ハンドル、MB-117 キャリングハンドル)が装着され(DSP機なのでフィルタ等のオプション設定は無し)、機能は問題無く外観も綺麗なMモデル(50W機)が手頃な即決価格有りで出ていたので迷わず落札(購入)。
届いた現物も商品説明通りの美品で大満足。
ちなみに、前面左右に装着されたハンドルは使い勝手やガード性に加えて外観に寄与する効果が大きいため本体入手に際して欠かせない絶対条件だった。
プチ・カスタマイズ
未使用端子にダストキャップを装着
使用しない端子は剥き出しのままにしておくと金属面が酸化したり内部に埃が入る恐れがあるためダストキャップを装着しておく。
今回は一部(USB-B、3.5mmジャック)を除いてNEUTRIKのシリーズを使用した。
このシリーズは艶消し黒のゴム製で、一見ツマミのようなデザインがIC-7200のフロントパネルに合う。
あいにくMIC端子に合うサイズの物が無かったので、サイズ/ネジ規格が合うM/UHFコネクタ用のダストキャップの上に、XLRメス用のダストキャップを重ねて装着している。
XLRメス用ダストキャップの内径とM/UHFコネクタ用ダストキャップの外径はほぼ同じで、XLRメス用ダストキャップの外径がフロントパネルのMIC端子開口部の内径より僅かに大きい程度…ゴム素材なので無理なく嵌まる。
●フロントパネル
【MIC】端子…M/UHFコネクタ用のカバーを流用し、その上からNEUTRIK / NDF(XLRメス用)ダストキャップを装着。
【PHONES】端子…NEUTRIK / NDJ(6.35mmジャック用)ダストキャップを装着。
●リアパネル
【USB-B】 端子…USB-B用ダストキャップを装着。
【REMOTE】端子…3.5mmミニジャック用ダストキャップを装着。
【ACC】端子…NEUTRIK / NDD(DINジャック用)ダストキャップを装着。
【KEY】端子…NEUTRIK / NDJ(6.35mmジャック用)ダストキャップを装着。
【SEND】【ALC】端子…NEUTRIK / NDP(RCAプラグ用)ダストキャップを装着。
※ACC端子に使用した「NEUTRIK / NDD(DINジャック用)ダストキャップ」は既に廃番になっているようで国内のショップは軒並み在庫無し、海外ショップやeBayでは見掛けるものの送料を含めるとかなり割高になってしまう。(幸いに一つだけ手持ちが有った。)
外装ネジを六角穴付きに交換
フロントパネルにはデザインの一つとして目立つ感じに最初から六角穴付きネジが使用されている。
それなら、上下面や側面で見える部分に使われているプラスネジも六角穴付きネジの方が見た目的には好みだな…というわけで、上下面14本・側面8本のネジを交換した。
尚、余り目立たないリアパネルは除外し、オプション品(ハンドル、キャリングハンドル)のネジも適合するネジが手持ちに無かったためオリジナルのままにしている。
・上下面…極薄(超低頭)M3×15 計14本
・側面…ナベM3×6 計8本
実際に交換してみて…上下面に使用されていたプラスネジは黒塗装のようで、塗膜が厚いのか締め/緩めが結構固くウッカリするとネジ頭をナメそうになる。(ねじ込まれている部分の塗装が剥がれていて指先にも付着。)
交換した六角穴付きネジは黒染めのため締め/緩めがスムーズで色落ちも無し。
取扱説明書(製本版)
今回入手したIC-7200には付属品が一切無かった。
最低限必要な電源(DC)ケーブルは別売品(iCOM / OPC-1457)を購入。
当面、実運用には使わないし運用するとしてもFT8なのでマイクは不要。
取扱説明書はメーカーサイトから最新(最終)のPDF版を入手出来る。
⇒ iCOM / IC-7200 取扱説明書 ダウンロード
とはいえ、やっぱり使い勝手の良い紙媒体で欲しい。
PDFファイルから製本してくれるサービス(製本直送)が有ることを知り、早速依頼した。
表紙は厚紙でカラー印刷を指定、中のページ用紙はデフォルト設定のままだけどメーカー純正の取扱説明書に比べて紙質が良く、なかなか良い出来上がり。
※著作権的にどうなのか?…については、あくまでも個人使用であり販売や配布は一切行わないということで大目に見ていただければ。
メーカーによる100W化改造と総合点検
元々受信が主目的ということもあり、モデル(送信出力)は選定条件にしなかったのでMモデル(50W機)だけど、もし将来的に運用にも使うのならIC-705+HL-50Bと被らないように100W化して固定局として使うのが良いかな…とメーカーで行っている出力変更改造(⇒100W)を依頼した。
併せて各部の点検も依頼…本機は既に販売終了から10年経っていて、そろそろ修理対応が気になるところ。
入手して暫く受信で使用した感じでは特に気になる点は無かったものの、気付かない箇所や送信関連については不明。
100W化改造時に点検していただければ安心感が増すし、万が一修理や調整が必要なら今のうちに依頼しておきたい。
尚、メーカー(iCOM)の「アマチュア無線機器の修理に関する重要なお知らせ」には下記の注意書きが有り、IC-7200は上段の項目に該当する。
※ 生産終了後10年~15年未満の機種につきましては、故障箇所の補修部品在庫があり、かつ調整、修理することで機能や性能の維持が可能であると弊社が判断した場合に、修理を承ります。 ※ 生産終了後15年以上を経過した機種につきましては、経年劣化等により動作を保証する修理ができないことから、修理品(調整、点検のご依頼を含む)の受付を終了させていただいております。何とぞ事情ご賢察のうえ、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
改造後に送受信を含めた総合点検と各部の再調整を実施していただき、結果は定格内とのこと。
これでまだまだ現役として使っていける。
メーカー対応とはいえ改造したため技適が無効になり自作機として申請する必要がある。
底面ラベルの技適番号欄にも「無効」のシールが貼られている。
申請の際には、メーカー発行の「修理明細書」を添付することで手続きを簡略化出来る。
周辺機器(外部アンテナ、プリセレクタ、DSPスピーカー)
IC-7200の導入に併せて、様々な周辺品を新調/現役復帰した。
外部アンテナ(AOR / 303WA-2)
室内設置のYouLoop改(エレメント長を4mに延長)はノイズが少なくて重宝しているけれど、もう少し感度が欲しくなり、以前から興味が有ったApexRadio / 303WA-2を購入。
全長1.8mと比較的短くて軽量、マストなどへの取付金具や接続ケーブル(M⇒BNC 10m)が一式付属していて、受信性能に対する評価も結構良い…というのが選定理由。
自宅のベランダは屋根が結構大きく張り出しているため、アンテナ自体をベランダから離して設置出来るように水平方向が長めのアンテナベース(BS/CSアンテナ用)を介して設置した。
実際に受信してみて、信号強度としては中波帯(概ね1000kHz以下)はYouLoop改が強く、それ以上(~短波帯)は303WA-2が強い。
普段良く聴く海外短波放送では、YouLoop改に対して303WA-2がSメーターの読みで2~3程度大きくなる。
但し、YouLoopの場合はノイズがかなり少なくて静かなため、信号強度が弱くても明瞭度が高く、たとえばSメーターが全く振らないのにハッキリ聴き取れるケースも有る。
プリセレクタ(MFJ / MFJ-1040C)
YouLoopも303WA-2も非同調タイプ。
プリセレクタやアンテナチューナー/カプラーなどで同調すれば更に受信状態が向上するはず。
以前そんな感じの話をツイッターでしたところ、紹介していただいたのがMFJ / MFJ-1040C。
その時は結局見送ったものの、今回は迷わず選定⇒購入。
実はメーカーが廃業してしまい全ての製品が流通在庫のみ、この製品も国内外ショップで軒並み販売終了状態になっていたものの、幸いに国内ショップで新品を入手することが出来た。
送信キャリア検出や外部制御により送信時にはスルー出来るので、運用時にも使用可。
2系統のアンテナと2系統の無線機(受信機)を相互に切替可。
・周波数範囲:1.8~54MHz
・耐入力:最大125W
・内蔵プリアンプ利得:最大 20dB アッテネーター機能有り
・アンテナ接続数:2
・無線機(受信機)接続数:2
中波帯は範囲外のため本機の電源をOFFにして使用するが(電源ONだと受信出来ない)、アンテナ/無線機(受信機)切替は電源OFFでも有効。
DSPスピーカー(BHI / NES10-2 MK4)
IC-7200はスピーカーが前面に有り、小口径ながら柔らかく聴きやすい音質が気に入っている。
また、内蔵のNR(ノイズリダクション機能)もなかなか優秀。
とはいえ、取り切れないノイズも有るため、より強力で除去レベルの調整が容易なDSPスピーカーBHI / NES10-2 MK4を現役復帰することにした。
これも小口径ながら結構聴きやすい音質が気に入っていたが、DCプラグの接触不良なのかケーブルを少し引っ張っただけで電源が落ちることがあり隠居していた…それが今回試してみると接触の不安定さは全く無し…何故突然快調になったのだろう?