
ATS-mini(ESP32/Si4732ミニラジオ)…そのコンパクトさとCNCアルミシェルの手触りの良さで普段からよく手に取っている。
アンテナもコンパクトなものが望ましい。
手持ちでコンパクトといえばアマチュア無線(144/430MHz)用のミニアンテナが有り、全長7cm且つゴム外被で軟らかいのは良いものの、中波放送を受信するにはやや力不足。
中波放送向けでコンパクトなアンテナといえば…バーアンテナ。
以前使っていたTECSUN PL-365用のミニバーアンテナが幾つかまだ有る。(付属品だが単体販売もされている。)
接続端子はΦ3.5mmミニプラグなので、これをSMA-Pコネクタに換えれば良い感じに使えそう。
以前にも、長くて高品質なフェライトロッドに交換した高利得タイプや、その高利得タイプと組み合わせる同調ユニットを作成した。

上:オリジナル / 中:今回作成した物 / 下:以前作成した高利得タイプ
作成
使用部品

・TECSUN PL-360/PL-365用バーアンテナ ※外装は三色有るが内部構成は同一。
・SMA-Pコネクタ(ネジ止めタイプ)
・Oリング(内径Φ6mm・線径1mm) ※外径Φ8mm・線径1mmも同等
・真鍮リング(外径Φ7mm・厚さ0.2mm・長さ4mm程度) ※真鍮パイプから切り出し
バーアンテナ部分

左右と下(ミニプラグ部分)のキャップを捻って抜き取ると簡単に分解出来る。
SMA-Pコネクタ部分

※実際の組立時には真鍮リングは後で装着する
SMA-Pコネクタの固定ネジは根元がネジを切られておらず、そのままではバーアンテナケースの下キャップへ捩じ込んだ際に空回りするため、緩み止めを兼ねてOリングを装着している。
真鍮リングはCOLD側の配線接続(ハンダ付け)先になる。
真鍮リングが長いと下キャップを固定できないため事前に確認し適宜調整する。
長さが程良いとケース下端とSMA-Pコネクタの根元に挟まれてしっかり固定される。
ネジ加工

SMA-Pコネクタの固定ネジを捩じ込めるように下キャップの開口部を加工する。
SMA-Pコネクタの固定ネジはSMAコネクタの接続ネジと同じ規格(1/4″-36UNS)なので、このようなT型コネクタをタップ代わりにしてネジを切る。
下キャップは柔らかめの樹脂素材なので難無くネジを切れるが、無理に捻じるとネジ山が崩れる恐れがあるので作業は慎重に。
万が一、ネジ山が崩れて空回りした場合は配線後に接着剤で固定してしまうのも有り。
組み立て
1.バーアンテナのミニプラグ根元で配線を切断し、被覆を剥く。
※配線はバーアンテナに巻かれていて若干余裕が有る。
2.HOT側(赤)の線を真鍮リング⇒下キャップの順に通してSMA-Pコネクタの芯にハンダ付けする。
※SMA-Pコネクタには予めOリングを装着しておく。
3.SMA-Pコネクタを下キャップに捩じ込んで固定する。
4.COLD側(黒)の線を真鍮リングの側面にハンダ付けする。
※キャップ内に収まるようにハンダの盛り上がりはなるべく低くする。
5.真鍮リングをSMA-Pコネクタの固定ネジに嵌め込む。
※真鍮リングは容易に抜けないように軽く圧して断面を楕円状にしておく。
6.ケースにバーアンテナを収めて、左右キャップと下キャップを嵌め込む。
7.完成
試用
アンテナ端子Hi-ZのATS-mini(V3)を使い、ATS-mini付属のロッドアンテナ、ドーナツアンテナと中波放送の受信比較をした感じでは、「バーアンテナ>ドーナツアンテナ>ロッドアンテナ」という印象。
強いだけではなくノイズが少ない。
夜間(昨夜確認)では横浜在住時に良く聴いていた TBS/文化/ニッポン/R日本/AFNが全て聴き取れるレベルで受信出来た。
アンテナ端子50ΩのATS-mini(V2)では受信強度が若干低下するものの、ドーナツアンテナやロッドアンテナほどの低下は無くほぼ誤差の範囲といったところ。
また、ドーナツアンテナやロッドアンテナはATS-miniに接触・接近している手を離すと受信強度が大きく低下するが、バーアンテナでは離した際の低下が少ない。
今回作成したバーアンテナはコンパクト(横70×縦50×厚さ20mm:実測)なので、ATS-miniと合わせて携行性は良好…但し、中波放送限定になるけれども。