TECSUN PL-365 高利得フェライトバーアンテナ製作

【この記事の所要時間: 526秒】

先日購入したTECSUN PL-365には着脱式の外付けバーアンテナ(中波用)が付属している。
本体にもバーアンテナが内蔵されていて単体でもそこそこ受信出来るが、この外付けバーアンテナを装着すればより強く受信出来るし、ジャイロアンテナのように回せるので本体の向きを変えずに最適な方向に合わせられる。

ネット上でPL-365の情報を漁っていたところ、なかなか興味深い記事を見つけた。
付属のバーアンテナに使われているフェライトロッドを長い物に交換して高利得化するというもの。
⇒【A high-gain ferrite bar antenna for the PL-360/PL-365 and CountyComm GP5 series / THE SWLING POST】

記事によると完成品がeBayで売られているとのことで、早速調べてみたが現在は販売されていないようだ。
ちなみに価格は$40だそうな。(送料は不明)

なかなか効果が有りそう…簡単な構造なので、早速部材を揃えて作ってみた。

高利得フェライトバーアンテナ

思案

高利得フェライトバーアンテナ 構成図

簡単な構成図を作ってみた。(Excelでお絵かき)
当初は、冒頭に挙げた記事で紹介されているような、付属バーアンテナの左右キャップを貫通してフェライトロッドを長い物に換えただけの簡単な作りを考えていたが、フェライトロッドは衝撃に弱く折れやすいので、保護と見た目を兼ねてパイプで全体を覆うことにした。

部材

TECSUN PL-365 付属のバーアンテナ

純正の付属バーアンテナと同じ物をAliexpressで購入。
他にシルバーやグレーなどの色違いモデルもあるが、このカラーリングが似合いそうなので選択。

旧USSR製フェライトロッド(Φ10mm×200mm)

どこかのサイトで旧USSR(ソ連)製のフェライトロッドが良い…的な記事を見かけたことを思い出し、ちょうどeBayに出品されていたので購入。
ウクライナからの発送で、配達予想は来年1月中旬から3月初旬となっていたため結構掛かるかと思ったら…昨日届いた。

上:旧USSR製、下:国内購入品
左:旧USSR製、右:国内購入品

国内購入品(生産国不明)と比べると、色が黒く、密度が高くて全体に滑らか、断面が真円という違いがある。

フェライトバーアンテナ(コイルのみ使用)

コイルは自分で巻くことを考えていたが、出来合いのバーアンテナから流用すれば手っ取り早い…というわけで、内径が同じΦ10mmでコイルのインダクタンスが300μH前後のバーアンテナを探した。
PL-365の中波用外部アンテナは非同調タイプが使えるが、使用されているラジオレシーバーチップ Si4735データシートで調べたところ、適合するインダクタンスは「180~450μH」。
購入したバーアンテナのインダクタンスは330μH…フェライトロッドが長くなるとインダクタンスも上昇するが、これくらいの値なら適合範囲内に収まるだろう。
尚、付属バーアンテナのコイルはフェライトロッドに直巻きで固定されているため、解かずに外すのは無理そう。

カバー用部材

カバーとなるパイプは耐衝撃性に優れた硬質PVC製、フェライトロッドとパイプの末端にはボルトエンドキャップやネジプロテクタと呼ばれる、ネジを締めた際に突出した部分を保護するためのゴムカバーを装着する。
パイプやキャップのサイズ(内径、外径)は、付属バーアンテナのケースなどとの噛み合わせを考えて決めた。
右端のスポンジテープは接触部分に貼り、ガタつきやズレを防止する。

組み立て

付属バーアンテナの三枚おろし

付属バーアンテナはシルバーのパーツ(左右と下部)を軽く捻って外すだけで簡単に分解出来る。
この中で使用するのは、ケース本体(黒いパーツ)、バーアンテナと接続しているΦ3.5mmミニプラグ、下側のシルバーパーツのみ。

フェライトロッドとコイルを入れ換え

用意したコイルにΦ3.5mmミニプラグをハンダ付けし、フェライトロッドを通す。
フェライトロッドにはガタつきとズレを防ぐためケースの左右端と接する部分にスポンジテープを巻いている。
ほぼ同じインダクタンスだが、流用品は線材が細めのため、コイルの幅がこれほど違う。

カバー装着

長さを合わせたパイプを左右に装着し、パイプの両端とフェライトロッドの両端にそれぞれボルトエンドキャップを嵌めれば完成。
付属バーアンテナと比べると約三倍の長さになる。(フェライトロッド自体も約三倍…60mm⇒200mmになっている。)

付属バーアンテナのインダクタンスを測定
インダクタンスは約290μH
高利得フェライトバーアンテナのインダクタンス測定
インダクタンスは約350μH

受信比較(在京7局・昼間・屋内)

TECSUN PL-365に高利得フェライトバーアンテナを装着

在京の7局(NHK第一、NHK第二、AFN、TBS、文化放送、ニッポン放送、ラジオ日本)で、本体のみ・付属バーアンテナ・高利得フェライトバーアンテナの受信比較を行った。
昼間、鉄筋集合住宅の屋内にて。

局名周波数(kHz)本体のみ付属バーアンテナ高利得フェライトバーアンテナ
NHK第一594466275
NHK第二693446275
AFN810486676
TBSラジオ954455972
文化放送1134314454
ニッポン放送1242526574
ラジオ日本1422516673
信号レベルはPL-365のシグナルレベル読み(単位:dBμ)

付属バーアンテナと比べて10dBμ以上、本体のみと比べると20~30dBμほど伸びているかな。
付属バーアンテナもコンパクトなサイズを考えるとなかなか健闘している感じ。