高利得フェライトバーアンテナ用同調ユニット製作

【この記事の所要時間: 547秒】

先日入手したMALACHITE DSP SDR RECEIVER HQには如何なるアンテナも内蔵されていないため、何か聴くには外部アンテナが必要になる。
そのため、本体入手に合わせてロッドアンテナも購入したものの、自宅内での中波放送の受信は殆ど不可(送信所が比較的近くに在って電波が強力なラジオ日本のみ聞き取れる)…まぁこれは事前に或る程度分かっていたので仕方がない。
IC-7300で使用しているアマチュア無線用アンテナ(HF帯~50MHz帯)やIC-705で使用している受信用広帯域ループアンテナ(LF帯~UHF帯対応)を使えば十分受信出来るのは確認済みだけども、せっかくの小型軽量というメリットが無くなってしまう。

コンパクトで、せめて在京7局が良好に受信出来る中波アンテナ…そういえば昨年末にTECSUN PL-365用に作った高利得フェライトバーアンテナが有るじゃないか。
これはPL-365に合わせてミニプラグ(3.5mmΦ、2極)接続なので、一般的なコネクタ(BNC)に変換し、且つ、自立できるような構造にすれば良さそう。
ちなみに「高利得」というのはPL-365付属のフェライトバーアンテナより利得が高いという意味で、市販品などと比べて絶対的に高性能という意味ではない。

コネクタ変換と自立のためには何か箱のような物に組み付けるのであれば、ついでに同調タイプにしてみてはどうだろう?
PL-365などのDSPラジオではこのフェライトバーアンテナのような非同調タイプでもラジオ側が合わせてくれるが、同調回路を付ければDSPラジオ以外にも利用範囲が広がるはず。
まぁ、MALACHITE DSP SDR RECEIVER HQはDSPと付いている通りDSPラジオなので無くても構わないと思うけど。

というわけで同調タイプの情報を探していて、同じようにフェライトバーアンテナをミニプラグ接続した構造で同調タイプの外部アンテナを作られた方のWebページに出会い、中波放送用の回路も掲載されていたので、大いに参考にさせていただいた。ありがとうございます。
ポリバリコンは偶然にも手持ち品と同じ容量(340pF×2連)だがバーアンテナのインダクタンスは記事掲載が390μHに対して手持ち品は350μHと僅かに低く、同調周波数が少し高めにシフトする。
元回路の同調範囲は300~2000kHzと広めなので(中波放送の周波数範囲は526.5~1606.5kHz)、多少シフトしても影響は無さそう。
⇒『長波受信用同調式バーアンテナ』(kerokeronyororoのblog)

主役は後ろ

使用部材

ケースと内部パーツ

この先で紹介する他の部材も含めて今回新規に購入したのは左上のケースのみで、残りは全て手持ち品。
右下のダイアルは、FT-818NDのメインダイヤルを交換した時に余った物(二個セット販売だったので)。

脚と重石

置いた際のガタ防止と滑り止め用に少し柔らか目のゴム脚を底部に貼り付ける。
また、安定性を増すために内部(底)に鉛シートを貼り付けて重石代わりにする。

バーアンテナの嵩上げ用

フェライトバーアンテナを接続する際に操作の邪魔にならないよう嵩上げしたい。
いろいろ考えて、ミニプラグ接続なんだから一般的な変換プラグを組み合わせて間に挟めば良いじゃないか…というわけで、ミニジャック⇔RCAプラグとRCAジャック⇔ミニプラグを連結して使うことにした。
使わない時には外しておけば嵩張らない。

高利得フェライトバーアンテナ

今回のツートップの片割れ…コレが無くては始まらない。

製作

回路自体は非常に簡単だけど、各パーツの位置決めで少し悩んだ。
配線のし易さ(引き回し)、パーツの固定し易さ(特にケース内でのナットの締め込み)など。
底蓋の内側には鉛シートを約2mmくらいの厚さに重ね張りし、この写真を撮った後の組み上げ時に絶縁テープを上貼りしている。

外観

全体像

サイズはバーアンテナを真横に向けた状態で、高さ14×横幅23×奥行8㎝(突出部を含む)。

前面

左:同調用ダイヤル、右:周波数範囲シフト用スイッチ(中波放送帯では常にOFF…下側)

後面

ラジオ接続用BNCコネクタ(ややハイインピーダンス)

上面

フェライトバーアンテナ接続用ミニジャック(3.5mmΦ、2極)

底面

ゴム脚はネジ穴を覆うため、完成・動作確認後に貼り付けた。

接続ケーブル

接続ケーブル

BNC⇔SMA変換ケーブルにマッチングトランスアダプタとL型アダプタを組み合わせている。

受信比較(在京7局・昼間・屋内)

MALACHITE DSP SDR RECEIVER HQに接続

在京の7局(NHK第一、NHK第二、AFN、TBS、文化放送、ニッポン放送、ラジオ日本)で、ロッドアンテナ・広帯域ループアンテナ(パッシブ)・高利得フェライトバーアンテナ(同調タイプ)の受信比較を行った。
昼間、鉄筋集合住宅の屋内にて。

局名周波数
(kHz)
ロッドアンテナ広帯域ループアンテナ
(パッシブ)
高利得フェライトバーアンテナ
(同調タイプ)
NHK第一594205850
NHK第二693275851
AFN810206255
TBSラジオ954145649
文化放送1134224741
ニッポン放送1242344645
ラジオ日本1422587769
信号レベルはMALACHITE DSP SDR RECEIVER HQのシグナルレベル読み(単位:SNR)
局名周波数
(kHz)
ロッドアンテナ広帯域ループアンテナ
(パッシブ)
高利得フェライトバーアンテナ
(同調タイプ)
NHK第一594-115-83-90
NHK第二693-114-81-90
AFN810-117-79-86
TBSラジオ954-117-84-92
文化放送1134-116-92-100
ニッポン放送1242-106-93-94
ラジオ日本1422-82-62-63
信号レベルはMALACHITE DSP SDR RECEIVER HQのシグナルレベル読み(単位:dBm)

なかなか健闘している感じで、一応製作の手間は報われたかな。
ロッドアンテナではラジオ日本は十分聞き取れるが、他の6局は辛うじて受信出来ていることが判別できる程度…屋外なら十分実用になると思う。