似たものラジオ…SONY PRO80とAIR‐8

【この記事の所要時間: 453秒】

虫干しと称して古いラジオを使う機会が増えてきた。
ラジオなど古い電気製品を使わずに死蔵していると、接点の導通不良(スイッチの接触不良、ボリュームのガリ)やコンデンサの劣化、メッキ部分の点錆や曇り、など様々な劣化が進む。
むしろ実用として稼働している方が長持ちするんじゃないかな…置いている環境次第だけど。
なので、ヤフオク!で見かける、長期在庫品や未使用品の古い電気製品なんて却って不安になってしまう。
ちゃんと手入れがされて、改造や無茶な使い方がされていないワンオーナー品がベストか。
今回はSONYのちょっと変わったラジオ、ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)の二機種。

SONY ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)

●ICF-PRO80
ICF-PRO70(1987年発売)の海外モデル。
十数年前にeBayで入手した物。
出品説明では”Mint Condition”(完動美品)とのことで掲載写真も割と綺麗だった…が…実際に届いた物は音量調節を最大にしても聞き取れないほど音が小さく、受信周波数が不安定になることもあり、外観も汚れと埃まみれ。
付属していた純正アンテナはメッキの曇りと若干の曲がり、VHFコンバーターは電池の液漏れが広範囲に侵食していて、頑張ったけど復活ならず…ちなみに本体は液漏れ一切無し。
以来、eBayでは電気物と機械物には手を出さないようにしているし、実際この取り引き後は割と最近までアクセスもしていなかったほど懲りた。
機能的な問題については、幸いに日本国内のSONYサービスで修理を受け付けてくれて、劣化した電解コンデンサとPLL部分の交換で復旧。
外観も念入りにクリーニングした結果、まぁまぁの美品と言えるかな?という程度にまでは綺麗になった(と思う)。

●AIR-8
AIR-7(1984年発売)の海外モデル。
こちらはヤフオク!で入手した。
経年並みの外観、動作は一通り確認…という控えめな説明だったけれど、相場の半額未満という安さ(というか相場が高すぎる!)に惹かれて落札した。
届いた物は機能的には全く問題無く、この機種(AIR-7/AIR-8)やPRO70/PRO80で多いボリュームやスケルチの挙動不審も皆無…これは前述のPRO80も同じく快調。
外観もクリーニングされていて経年を考えても非常に綺麗だった。
思えばヤフオク!で失敗した落札って無いな…ただ結構酷い話も見聞きするので油断は禁物。

SONY ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)

ボタンの数と配置、基本機能は全く同じ。
だけどサブ機能(FUNCTION同時押し)はPRO80のみ。
また、WIDE/NARROW/SSBの切り替えもPRO80にのみ搭載されている。
数字ボタン(1~9、0)にはそれぞれ受信周波数をプリセット出来る。

SONY ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)

上面ツマミ類の数と配置、機能も一部を除いて同じ。
唯一、PRO80は音量調節(VOLUME)と音質切替(TONE)が同じツマミに割り当てられている。
AIR-8の音量調節(VOL)も押し込む構造になっているが、単に隣接のスケルチ(SQL)ツマミを回しやすくするためのもので、機能的なものは無い。
大きな違いは右端にある一回り大きなツマミ。
PRO80では四面のページ切替(PAGE)とSSBモードでの受信周波数微調整(FINE)が同軸になっている。
FINEの有効/無効はボタン操作(FUNCTION+6)で切り替える。
AIR-8では4バンドの切替のみ。
尚、PRO80は各ページ内にすべてのバンドを混在出来るが、AIR-8はそれぞれのバンドのみ。

受信周波数帯(バンド)
●PRO80
 LW/MW/SW/VHF/FM:150kHz~108MHz
 (VHFコンバーター使用時 AIR/PSB/TV(VHF):115.15MHz~223MHz)
●AIR-8
 AM(LW/MW/SW):150kHz~2194kHz
 FM:76MHz~108MHz
 AIR:108MHz~136MHz
 PSB:144MHz~174MHz
※PSB:Public Service Band

PRO80では中波放送/短波放送(ラジオ日経、KTWR)/FM放送(補完放送含む)を受信。
AIR-8では中波放送/FM放送(補完放送含む)/AIR-BAND/鉄道無線・国際VHF(PSB)を受信。

SONY ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)

アンテナ端子は似て非なるもの。
PRO80ではTNC、AIR-8はBNC。
ちなみに、TNCはBNCをネジ止めにして衝撃や振動に対する耐久性を強化したもの…とのこと。

SONY ICF-PRO80(左)とAIR-8(右)

PRO80には純正アンテナも付属していたが、硬くてそこそこ長いロッドアンテナのため取り回しを考えてアマチュア無線(144/430MHz)用の短いラバーアンテナ(10㎝長)に換えている。(TNC⇔BNC変換アダプタ…本体付属…を使用。)
この短いアンテナでも、FM放送はもちろん、短波放送もそこそこ受信出来る。(中波放送は内蔵のフェライトバーアンテナ使用。)
AIR-8は付属のヘリカルアンテナ(30㎝長)を使用。
このアンテナはAIR-BANDを優先しているそうだが、FM放送とPSB(鉄道無線、国際VHF)もそれなりに受信出来る…尤も国際VHFは海からの距離&間に小山があるため辛うじて聞き取れるレベルだけども。
鉄道無線もトーンスケルチ(空線キャンセラ)が無いため空線信号(ピーギャラギャラ)が常に聞こえて結構ツライ。

昔のラジオは面白い!
この二機種、機能も外観も満足しているけれど、ディスプレイの照明がかなり暗くなっているので、いずれLEDに交換したい。