懐かしのラジオ … COUGAR No.5

【この記事の所要時間: 543秒】

最近、テレビを観ることが減ってきた。
定期的に観ている番組は録画しておいて週末〜休日にまとめて消化するので、特に平日は全く観ないことも珍しくない。

その代わりラジオを聴く機会が増えたね。
テレビと違って耳だけを向けていれば良いので、何かしていても気を散らされることが無いし、それでいて意外と内容が入ってくる。

さらに就寝間際までラジオを聴きたいと思い始めたが…手持ちのラジオは枕元に置いて使うには今一つ条件が合わない。
その条件とはこんな感じ。

  1. ベッド脇の隙間から落ちないように或る程度の大きさ。 ((セミダブルベッドなので多少大きいのはOK。)) 
  2. 寝ぼけて叩いたり、寝返りで下敷きにしても壊れない程度の頑丈さ。
  3. 1〜2時間程度のスリープタイマー。
  4. 手探りで操作出来るようなシンプルで大振りな操作系。
  5. 受信バンドはAMだけでも良いがFMも聴ければ尚嬉しい。 ((短波は聴く局が殆ど無いため不要。)) 
  6. 向きを変えたりアンテナを伸ばしたりしなくても主要局を受信できる感度。
  7. 夜間なので音量を上げなくても聴き取れて、聴き疲れしない柔らかめの音質。

昔のラジオの方がこれらの条件を満たしやすいかも。
特に7番目は古い製品の方が合っている印象がある。
幾つか心当たりの製品が有るので、早速ヤフオク!で品定めしてみた。

 

 

 

National Panasonic COUGAR No.5

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そして見事入手出来たのが、ナショナル クーガー No.5(RF-727)。 ((開始価格=即決価格だったので競り合うことなく落札。その即決価格も程度の良さを考えると破格(格安)だった。))
真四角で操作系が上部にまとまっているという、ちょっとミリタリー風味の珍しいデザイン。
サイズは幅188×高142×奥行89mm/重量1.35kg(バッテリー込み)で、バイク用バッテリーと同様のサイズ・形状だろうか。

1973年製造なので半世紀近く前の製品になる。
実は以前から気になっていて、ヤフオク!を覗く度にチェックしていたが余り見かけることが無く、稀に出ても古い&さほどマニア向けじゃない(=一般実用向け)製品ということもあってか状態が良くない物が多く、ずっと見送ってきた。

今回入手した物は、外観はほぼ新品同様で割れやヒビ、変形はもちろん、変色(脱色、灼け ((特にDIAL LIGHTボタンやTIMERダイアルが黄土色っぽく変色している個体が多い。)) )や擦れ、金属部分の錆も無く、レタリングの剥げも POWER スイッチの ON が少し欠けている程度。
元の持ち主がかなり丁寧に使っていたんだろうね。
機能面でも、AM/FM共に主要局が強力に受信出来て(FMはアンテナを伸ばす必要無し)、目盛りから判る程度の周波数ズレは見られず。
各スイッチは接触不良無く、ボリューム/トーンも共にガリ無し、ON/OFFタイマーも完動。

 

 

前面

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NationalとPanasonicのダブルネーム。
当時、日本国内ではNational、海外向けでは主にPanasonicを使っていたそうな。
COUGAR(クーガー)はナショナル(松下電器)が出していたBCLラジオのブランドで、同時期にSONYから出ていたSkysensor(スカイセンサー)シリーズとは強力なライバル関係だった。
ちなみに本機はCOUGARと名付けられているが、シリーズの他モデルとは異なり中波放送(525~1605KHz)とFM放送(76~90MHz)のみに対応し、短波放送は受信出来ない。

前面にはスピーカーが配置されていて、直径10㎝とやや小型ながら、重めで厚みのあるボディのおかげで低~中音域に寄った聴き易い音質になっている。

 

 

上面

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操作系は非常にシンプルでツマミやスイッチが大きめなので、暗い中でも手探りで操作し易い。
チューニングメーターやチューニングインジケーターの類は一切無し。
ダイヤル目盛りは指針ではなく背景の目盛りフィルムが動くタイプ。

 

 

側面1

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側面にはチューニングダイヤルとイヤホン/外部スピーカー端子。

 

 

側面2

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もう一方の側面にはMPX OUT端子とSTREO IN/REC OUT端子。
昔はMPXアダプターなる拡張機器が売られていて、ラジオのMPX OUT端子に接続することでFMステレオ放送をステレオで聴くことが出来た。
その下はINとOUTが同じ端子を共有しているが…どういう仕組みなんだろう?
尚、写真では底部が窄んだ逆台形状に見えるが、撮影時のカメラ位置に因るもので、実際は「側面1」と同じくほぼ長方形。

 

 

背面

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背面にはスペックシートと外部電源(AC 100V)入力端子。
この端子部分は結構汚れ易いが、見ての通り隅々まで綺麗でピンも錆一つ無し。

 

 

底面

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底面には電池ボックスが有り、単二×4本で動作する。
古いラジオではこの電池ボックス内の汚れ(電池の液漏れ)が顕著だけど、このラジオでは全く問題無く綺麗。

 

 

ダイヤルライト

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DIAL LIGHT ボタンを押すとダイヤル目盛りが仄かに照らされる。
陽射しがある場所で撮ったためさほど明るく見えないが、暗い中では必要充分の明るさ。
この時代のラジオでは照明電球をLEDに交換している改造品をよく見かける。
電球に比べて格段に明るくなるし消費電流は減るし寿命も長いので効果的だろう。

 

 

ON/OFFタイマー

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最大120分まで指定出来る、ゼンマイ駆動のON/OFFタイマー。
この機構が故障している個体が多い様子。

 

 

ロッドアンテナ

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折れ、曲がり、凹み、錆は一切無く、紛失し易い先端部分(黒い樹脂製)もちゃんと残っている。

 

 

ハンドベルト

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手持ち用に、パラコードでベルトを編んで装着してみた。
ラジオのミリタリー風な外観に良く似合っている…と自画自賛(^^ゞ

 

 

使ってみて…

この真四角な形状がなんともいえず良い感じ。
そして操作系が上面に集中しているので、床置き・傍らに置いた際にも使い易い。
感度の高さには感心した…AM/FMともに主要局が強力に入り、FMもロッドアンテナを折り畳んだままで良好に受信出来るので、寝ながら聴いていてもうっかり倒してアンテナを曲げたり折ったりする恐れが無い。
この受信感度は手持ちのラジオの中でも上位に入るのではないだろうか。

さて、肝心の音は…うんうん懐かしいね、この音だよ。
けっして広帯域ではないけど変に籠もった感じは無くて、耳にとても優しい音。
それでいて音量を絞ってもちゃんと聴き取れる。
ベッドサイドラジオとしてはこの音質がなによりも嬉しい。

登場してから約半世紀、欲しいと思い始めてから十数年にしてようやく手にしたけれど、本当に良かったと思える逸品。