現在、自宅に設置している屋外アンテナはアマチュア無線用(HF〜6m)ホイップアンテナ(ATU使用が前提の長さ2m程のアルミパイプで、ベランダに置いた屋根馬に固定)一本のみ。
集合住宅であり規約が厳しいため(構造物への固定不可、目立つほど大きな/長い物も不可、落下や風で振れた際の構造物への衝突/接触は言うまでもなく絶対に禁止、等)、この一本でさえ事前に計画を提示し、設置後に写真を見せて了承を得たほど。
これ以上の屋外(ベランダ)設置は実質無理なので、その後導入した受信用アンテナは、パッシブMLAを窓際に吊り下げるか、受信機自体にロッドアンテナを直付けしている。
そんな環境で無線機や受信機を増やした際に必要になるのがアンテナ分配器や切替器。
アンテナ自体を増やせないのなら、そこに繋がる「線」を増やすしかない。
実は最近また一台受信機が増えたので、分配器か切替器を追加で調達しなければ…と思案を始めて、ふと思いついたことが有り、市販品にはその思いつきを満たす物が無く、それなら自作しようかと。
受信専用なので特性や耐圧的にはさほどシビアではなく、冬休みの小物作りにも良さそう。

製作には大進無線の「3D無線クラブ 3D RADIO CLUB -NO.72 2分配器の作り方 (広帯域受信専用 500KHz~1300MHz 対応 50Ω )-」を参考にさせていただき、部品も同社で販売されている部品セット(DS-2)を使用した。
部品セットにはケースは付属せず、タカチ TD5-8-3N(55×30×80mm/95g)が推奨になっている。
今回は対象物に合わせて、一回り小さくブラック塗装の TD4-6-3B(40×27×60mm/56g)に組み込むことにした。
組み立て

部品セット付属の生基板(大きい方)は横幅を10mmほど切り詰め、更に四つ角をケース内の出っ張りに合わせて削り込んだ。
部品点数は、それぞれフェライトビーズを2個使用し自分で巻いたトランスが3個と抵抗が1本のみで非常に簡単。

基板をケースに収め、併せてBNCコネクタ(BNC-J×1、BNC-P×2)を取り付けて、基板と接続。
基板とコネクタの間は極細同軸(モガミ2310)で接続するようになっているが、ケースの小型化に伴ってコネクタと基板間の距離がかなり短くなり、1cm少々の長さでは極細といえど同軸ケーブルで繋ぐのはかなり大変。
結局、HOT側/GND側ともに通常の配線材(撚り線)を使用した。
受信専用で、主に中波帯〜短波帯での使用(FM放送やVHFエアバンドで使えれば尚良し)なので大丈夫だろうと。
また、ケースにBNCコネクタの取り付け穴を開けるのが最も大変な作業だった。
BNCコネクタのネジ部分は空回り防止のため断面が「D」状になっているため、その整形が一苦労。
尚、ケース内部も塗装されているので、蓋側も含めて部分的に塗装を剥がして内側に銅箔テープを貼り、各コネクタと基板(両面を銅箔テープで接続)のGNDを繋いでいる。
ちなみに、通常(BNCコネクタ仕様)の分配器はケーブルを直接繋ぐため入力/出力ともにBNC-Jコネクタを用いるが、今回は冒頭にも書いた「ふと思いついたこと」のため、出力側は2つともBNC-Pコネクタにしている。
ケーブルを繋ぐ場合は、下の写真のようにBNC-J⇔BNC-J中継コネクタを介する。


製作記事で推奨されているケース(タカチ TD5-8-3)と比較すると容積でほぼ半分のサイズ。
総重量は146g(内ケースは56g)。
厳密な測定はしていないが、分配側へ個別に繋いで中波放送〜短波放送〜FM放送の受信強度で比較すると、両方ともほぼ同じレベルだった。
新規導入ツール
今回使用したケースはアルミダイキャスト製で厚さ2mm。
普段使用しているピンバイスやハンドドリルでも穴開けは出来ると思うが、相手が割と小さなサイズだし、穴開け面が僅かに斜めになっていることもあって、ガッチリ固定して安定して作業をするには少々心許ない。
幸いに精度はさほど要求されないけれど、後修正はできるだけ避けたい。
というわけで、以前から欲しいと思っていた卓上ミニボール盤 HOZAN K-21 デスクドリル を導入することにした。

主軸回転数 | 2100 / 4500 / 6200rpm(ベルト掛け換え方式) |
穴あけ能力 | 鉄・非鉄6.0mmφ |
主軸の芯ブレ | 0.04mm(チャック含まず) |
チャッキング径 | 0.8~6.0mmφ |
定格電圧・周波数 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 80W |
定格時間 | 15分 |
外形寸法 | 120(W)×350(H)×225(D)mm |
重量 | 4kg |
重量4kgと軽量なので持ち運びしやすく、また、梱包した状態では宅配便80サイズ相当なので、片付ける際にも仕舞う場所に悩まなくて済む。
併せて、対象物を固定する K-24 ミニバイス と 芯ブレを更に抑える K-21-1 コレットチャック 、下に敷く防振パット(ゴムシート)を同時購入。
懸念の動作音と振動について、レビューで見掛けた「夜間でも作業出来る」は正直どうかな〜と思っていたけれど、実際に使ってみた感じでは対象物の素材やドリル刃のサイズにも因るが、今回の2mm厚のアルミダイキャストにφ4mm径の穴を開けた際の音や振動程度であれば、集合住宅でも夜の早い時間なら作業出来そうな印象。
まぁ、よほどのことじゃなければ夜間作業はしないけれども。(今回も昼間に作業。)