ループアンテナ新調 … Field_ant MK-7AM

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自宅でのメインアンテナはMLA(マグネティック・ループ・アンテナ)。
以前は「Alexloop Walkham Premier」、そして今は「UltraLight Magnetic Loop antenna MC-20」を愛用している。

いずれも収納時はコンパクトに収まり組み立ても容易。
そしてMLAの特長として環境ノイズに強い。
都市部の集合住宅なんてノイズに囲まれているようなもの…そんな前住居(鉄筋集合住宅で周囲には屋根にソーラーパネルを設置した戸建てが何軒か有り、近くには鉄道が2路線と高圧送電の鉄塔も点在)の室内設置でも5Wの出力で全国と交信出来た。(HFのFT8なのでこれくらい当たり前か…。)
現在は木造戸建てだし近所にソーラーパネルを含めてコレといったノイズ源も無く、同じ室内設置でも状況は更に良いはず。

ただ、QRP向けということで最大入力は20W(FT8などデジタルの場合は10W)とささやか。
現在はIC-705(最大10W)/FT-818ND(最大6W)との組み合わせなので問題無いが、いずれ増強したいという希望もある。

屋外へのアンテナ設置は今直ぐには難しいので、 これまでの実績や感触から室内設置でも十分使えると判断しているMLAが望ましい。
そしてFT8でも50Wに耐えられるMLAが欲しい。(移動局免許のためそれ以上は不要。)
海外メーカーなら該当する製品が有るものの…元々高価なことに加えてこの円安だし、サイズを考えると更に高額の送料が加わって到底無理。

そんな中、とある国内製品「Field_ant MK-7AM」を知った。
7MHzから28MHzまでの全てのバンドに対応し、100Wの連続キャリア可(とはいえFT8だと半分の50W程度に抑えたほうが良いかな)。
バンドの切り替えはコンデンサーユニットの交換で行い、バンド内のチューニングはモーター回転により調整しリモート操作…FT8ならバンド内での移動は殆ど無いのでさほど手間は掛からないだろう。
購入者レビューでは性能や使い勝手などなかなか好感触。
けして安価ではないものの、内容を考えれば納得出来る…と購入した。

右上の小さいループは受信専用MLA(AOR LA400)

直径1m(正確には97cm)は流石に大きい。

スタンド

AlexloopやMC-20は軽量(約1kg)なのと運用時のみ組み立てていたため、スタンドには三脚&一脚を使用していたが、MK-7AMは少し重い(約1.4kg)上に分解を想定していない構造で常時設置する形になるため、スタンドもやや頑丈で容易に動かせる物にした。
キャスター付き台車の上に、BS/CSアンテナ用室内スタンドを載せて、スタンドにMK-7AMを固定している。
キャスターのお陰で移動や回転が楽に行え、使用しない時は部屋の端に片付けている。
ちなみに、台車と室内スタンド底部の直径は共に35cmで一体感が有る。

台車は縁が1cmほどの幅で盛り上がっており、室内スタンドも底部の接地面は縁から1cmほどの幅なので、移動時に滑り落ちないよう室内スタンドの底部にはゴム足を貼り付けている。
上の写真はDyson Pure Cool&Hot Linkで使用している同型品。

コモンモードフィルタ

MK-7AMの接続ケーブル(M-P)は50cmほど。
室内設置のため他機器への影響を抑える目的で延長ケーブルにはコモンモードフィルタを入れている。

固定コンデンサー

各バンド毎に交換使用する固定コンデンサーが4種類付属している。
上の写真は7MHz帯時、この形態で下側のパックのみにすると10MHz帯対応になる。
他には14MHz帯用と18MHz帯用、何も装着しない場合は21MHz帯/24MHz帯/28MHz帯に対応する。
取り付けは4箇所(固定用2箇所、配線用2箇所)の蝶ネジ留めのため交換には若干の手間が掛かり、バンド移動を頻繁に行うような運用スタイルには余り向かないかな。

可変コンデンサー

モーター(固定コンデンサー取り付け部分の背面に有る)で長ネジを回転してU字部分を上下させることでチューニングを行う。
この構造がトロンボーン(管楽器)のスライド管に似ていることから、本アンテナは「トロンボループ」と呼ぶらしい。

コントローラー

モーターに加える電流の極性を変えることで回転方向を切り替えて、モーターに取り付けられた長ネジの回転で可変コンデンサーを上下に移動する。
使用されているトグルスイッチは傾けた側で固定されるオルタネイト型だが、操作性向上のため手を離したら中点に戻るモメンタリ型に交換しているユーザーも居るとのこと。
オリジナル状態の電圧(4.5V…単3乾電池×3本)であればモーターの回転もさほど速く無く、オルタネイト型でも最良点を大きく行き過ぎることなく調整出来ている。

チューニング

アンテナアナライザーで測定中(実際の調整時は横に向けて確認し易くしている)
ALCが振れ過ぎていたので、この後適正レベルに調整した

アンテナからのケーブルを同軸切替器を介してIC-705とアンテナアナライザー(RigExpert AA-55 ZOOM)に振り分けている。
チューニングは先ずコントローラーを操作してSWR値が最小になるように調整し、必要に応じてアンテナ自体を細かく移動することで更に下げている。
比較的容易に1.0x辺りになり、IC-705のSWRメーターでは殆ど振れない。

運用

運用風景
FT8CNで運用中(Galaxy Tab Active 3…IC-705とはWLAN接続)
PSKReporterでの状況表示

FT8運用(7041kHz、10W)で全国に届いている模様。

ほぼ同じ位置に設置して同様に調整をしたMC-20と比べて、飛び/受け共に実感出来るほどの大きな差は感じないが、こちらのアンテナの強みはなんといっても最大入力の余裕…今後パワーアップした際にこそ真価を発揮するだろう。
容易に分解出来ない代わりに全体的な強度が有るので、設置したままにしておけるという強みも大きい。

PC環境構築(ワイヤレス接続でWSJT-Xを使う)

FT8CNで気に入っているのは、コンパクトなAndroidタブレットでIC-705とワイヤレス(WLAN)接続して運用できるという手軽さ。
ワイヤレス接続は手軽さ以外にもUSB接続で起こりがちな「受信時のノイズ混入」や「送信時の電波回り込みによる誤作動」を回避出来るという非常に大きなメリットが有る。
ふと、自ブログの過去記事を眺めていると、iCOM純正のリモートアプリ「RS-BA1」に含まれる「iCOM Remote Utility」を介してPCとIC-705をWLAN接続し、WSJT-Xを使う手順をまとめていた。

早速、RS-BA1と光学ドライブ(現行版はUSBメモリに変更されているため不要)を転居荷物の中から探し出し、先ずはRS-BA1をセットアップ。
問題無く使えることを確認し、次は過去記事に従ってWSJT-Xのセットアップ。
IC-705は子機としてWi-Fiルーターに繋がっているため、運用中でもPCやタブレットからは通常通りインターネット接続が出来る。
数年前(2020年6月)の記事で、当時最新版のRS-BA1やWSJT-Xの無線機一覧にもIC-705が未だ無く、他機種設定の流用など結構試行錯誤した内容なので、いずれ更新した方が良いかも。

※Tx 4の送出をデフォルトの『RRR』から『RR73』に変更しておく。(【Tx 4】ボタンをダブルクリックすると切り替えられる。

WSJT-Xで運用中(PCとIC-705はWLAN接続)

実際に運用してみると、FT8CNに比べて明らかにデコード率・応答率ともに良く、FT8CNでは応答のリトライが何度か続いて結果交信中断になっていたのがWSJT-Xでは中断はもちろんリトライも殆ど無くなった。
PC(Core i7-13700H/RAM 32GB)とAndroidタブレット(Samsung Exynos 9810/RAM 4GB)の処理能力差も大きく関係しているだろう。

運用時の画面構成:
・サブディスプレイ(上)…WSJT-Xのウォーターフォール画面/PSKReporterサイト
・メインディスプレイ(中)…WSJT-Xのメイン画面/Webブラウザ×2面
・サブディスプレイ(下)…Twitter/メール

ちなみに、WSJT-Xはダークスタイルを使用している。
FT8CN以前はJTDXを使っていて、ダークスタイルが気に入っていたのでWSJT-Xでも使えれば…とユーザーガイド「WSJT-X 2.6.1 User Guide」を眺めていると、ダークスタイルが使用できると判り早速適用。【4.9. ダークスタイル】
デコードハイライトの配色(文字色)を調整する必要が有るが、かなり見易くなった。
尚、アプリ内での設定ではなく、起動時にパラメータを付与することでダークスタイルに切り替える手順。(ユーザーガイドに詳細有り。)